選挙実施までに「4年」 シリア暫定政府トップが表明
【カイロ=佐藤貴生】アサド前政権崩壊後のシリアで暫定政府を率いる「シリア解放機構(HTS)」のアハマド・シャラア(通称ジャウラニ)氏はサウジアラビアのテレビ局との会見で、新たな選挙の実施までには約4年を要するとの見通しを述べた。英BBC放送(電子版)が29日伝えた。シャラア氏が政治プロセスの具体的な時期に言及したのは初めてとみられる。 シャラア氏は新憲法の起草に約3年かかり、公共サービスの整備など復興の進展にも約1年かかると述べた。選挙を行うには包括的な国勢調査が必要だという考えも示した。また、国民対話の会議を行う方針を示し、それに合わせてHTSは「解散させる」とした。 HTSは国際テロ組織アルカーイダなどを出身母体とするイスラム過激派組織だが、シャラア氏はアサド前政権崩壊後、スーツにネクタイを着用するなどしてイスラム色を薄め、国内少数民族を保護すると述べるなど、国民統合を推進する意思を示している。 暫定政府は先週、前政権を支持する民兵や元兵士、密告者ら300人近くを逮捕したとされ、国内の分断が解消できるかが課題となっている。