「壁だろうがアスファルトだろうが5回10回と頭をぶつけて」元チャットモンチー福岡晃子 4歳息子の発達障害を公表したワケ
── 誹謗中傷とは? 福岡さん:障害者手帳があることによって税金の無駄使いとか、そういう人を産んだとか。実際、私も息子のニュースが出たときに少し言われましたし。あと、自分の子どもが大きくなったときに、子どもから「勝手に自分のことを言うなよ」と言われたらどうしよう、とは思いましたけど。後からこんなこと言わないで欲しかったと言われても、今は子どもの意志を聞けないので、勝手に決めて後から怒られたらどうしようとは思いましたが、私的には本を出して、息子のことをわかってもらえたほうが、この子は生きやすい世界になるんじゃないかなって思ったんです。親のエゴかもしれませんが、そう思って決めました。
── 反響はいかがでしたか? 福岡さん:「ウチもです!」みたいな意見を結構いただいて、すごく勇気をもらいました。そういう人に届いているのはめちゃくちゃ嬉しいですね。 ── 改めてチャットモンチー時代から結婚、出産を経て今の環境をどう思いますか? 福岡さん:紆余曲折だけど結果、すごく幸せな人生だと思っています。バンドが終わったときは1回目の人生が終わったと。それくらい捧げていたものが終わったと思っていて、今は2回目の人生だと思っています。2回目は2回目で波乱はあるけど、とりあえず毎日楽しいですね。
──「子育て、大変ですか?」と聞かれることはありますか? 福岡さん:ありますけどみんな大変ですよね、子育てって。障害があってもなくても大変だろうし、うちは4歳だけど幼いんですよ。赤ちゃんみたいなところがあるからわかりやすいんです。それぞれバランスがあると思っていて。違う形で生まれてきたら、もっとズル賢くて、頭を悩ませていたかもしれないですけど(笑)。うちは成長がゆっくりだし扱いやすさはあると思っています。自分のメンタルが弱っているときに何か言われると傷つくこともありましたが、いろいろな人がいますし、いろいろなタイミングで言ってきますから、いちいち気にしてもしょうがないかなって。今はそんなふうに思えるようになりました。
PROFILE 福岡晃子さん ふくおか・あきこ。1983年生まれ徳島県徳島市出身。2002年よりチャットモンチーのメンバーとして活動し、2016年に徳島にイベントスペース「OLUYO」を開設。2018年にチャットモンチー完結後、2020年に完全に徳島に移住。ソロアーティストやバンドのプロデュース、作詞作曲などを手がける。結婚して1児の母。 取材・文/松永怜 写真提供/福岡晃子、weathershop
松永怜