「壁だろうがアスファルトだろうが5回10回と頭をぶつけて」元チャットモンチー福岡晃子 4歳息子の発達障害を公表したワケ
■予定外のことや変化に対しては ── コミュニケーションの取り方で工夫をしていることはありますか? 福岡さん:以前は絵カードを見せていて、たとえばトイレの写真を見せながら「今からトイレに行きます」「手を洗います」と誘導していましたが、最近は絵カードなしでも言葉で言えばわかるようになってきました。あと、1日の見通しが立つと安心するようなので、朝に1日の流れを説明しています。「今日は1.保育園にいく。2.お昼ご飯を食べる。3.お昼寝する。4.とうちゃんが迎えにくる。5.カエルを取りに行く」とか(笑)。何度か暗唱しながら順番を覚えていくみたいです。以前は短い時間しか把握できなかったのですが、今は1日単位でも覚えられるようになりました。
玄関で靴を履くときも「靴を履いて」と「だから早く靴を履いて」では、息子にとっては言葉が変わってきてしまうので、一貫して「靴履きます」と息子の主語で言います。「靴履いて」はこちらの主語ですが、「靴履きます」は息子の主観の言葉になるのでわかりやすいんです。ほかにも「今からご飯食べます」「お風呂入ります」といった感じですね。 ──「お風呂に入って」ではないんですね。 福岡さん:息子の症状に気づいてなかったときは、私が「お風呂入って」と言うと、息子も「お風呂入って」と言ってました。最近は減りましたが、言葉がで始めたときは基本おうむ返しだったので。
── 予定外のことや変化を受け入れにくいことはありますか? 福岡さん:保育園で進級して担任の先生や教室が変わったりすると、少しストレスがかかってくるのかなと思うことはあります。また、私が仕事で数日、家を空けるときは前もって話はしますが、急な予定変更があった場合はちゃんと話をしないと興奮して泣き叫ぶんです。こっそり出ていくのも違うなと思って、きちんと説明して納得いくまで話はするようにしています。
■息子の発達障害を公表したワケ ── 4月に出版された著書『おかえり』にて、息子さんが自閉症スペクトラムについて公表されました。 福岡さん:息子の話を出すかどうか、ギリギリまで迷いました。親しい人やご近所の方はもちろん知っていましたが、世間に公表することによって誹謗中傷を受ける可能性が高いと聞いて、私はともかく、自分の子どもが傷つくんじゃないかと思ったんです。でも、自分の本を出すにあたって、子どものことを書かないのは嘘になると思ったし、読んでくれた人の背中をちょっとでも押せるような本になったらいいなと思って出しました。