なぜ上場を彩る“あの鐘”は5回鳴らすのか 東証のセレモニーに込められた「こだわり」と「おもてなし」
丁寧な解説も終わり、いざ本番。まずは社長から木槌を手に取り…カーン! そのあとも、代わる代わる鐘を鳴らしていく。中には、あまりに大きな鐘の音にのけぞる人も。 鐘を鳴らした参加者 「感激しちゃいました。結構音が大きい」 上場に至るまでの苦労を噛みしめた参加者たち。短い時間ながらも濃密なセレモニーの裏には、東証のおもてなしへのこだわりがあった。 ■セレモニーの裏で…東証のおもてなしの数々 まずはセレモニーで使用された、会社名入りの木槌だ。 実はこれ、東証が上場企業のために特別に用意しているもの。セレモニーに使われた後は、記念品として企業にプレゼントされる。見学者用に展示されている木槌を持ってみたが、かなりずっしり。立派な木槌である。(担当者の方にダメ元で値段を伺ったが…ダメでした。そりゃそうです) この粋なプレゼントは、企業にも大好評。ネットで「東証 上場 木槌」と検索してみると、様々な上場企業がセレモニー後も社内で大切に飾っている写真が出てくる。 ほかにも、記念撮影時に社員たちの胸元を彩った赤いバラ。木槌のようにプレゼント、というわけにはいかないが、これも東証側が貸出用に用意したものだ。 上場セレモニー 担当者 「”セレモニーらしさ” を演出させていただいている。赤いバラをつけていただいた方が『セレモニーが始まるな』って感じていただけるのかなと」 ちなみに東証の職員の胸にも白いバラがつけられているが、参加者がつけている赤いバラのほうが“本物らしく”見えるよう、高級感を大事に作っているという。雰囲気にもこだわって作ったというバラのコサージュはたしかに、この祝いの場を美しく引き締めてくれていたように感じた。 ■”ひとつひとつ丁寧に” こだわりのおもてなしのワケ 司会にカメラマン、通知書に加え、立派な木槌やコサージュも…。東証側の気合が伝わるセレモニーだが、実はすべて無償でやっているという。 上場セレモニー 担当者 「思い出に残るようなセレモニーにするために、ひとつひとつ丁寧におもてなしさせていただいています。みなさま色々ご苦労があって上場されていると思いますので、その記念すべき日に鐘を叩いていただき、みなさまで上場の喜びを分かち合っていただけたら」
「閉館後にこっそり鐘を叩いたことは…?」と聞いてみたが… 「とんでもない。上場するからこそ叩けるものなので」 たくさんの苦労を乗り越えた先にある、会社関係者全員にとっての記念すべき日。そんな1日を演出すべく、きょうも東証では鐘が鳴る。
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