カーチス社長「目先の利益より“生涯顧客”獲得を」、業界全体で、健全な仕組み作りに取り組む好機
昨夏にビッグモーターの保険金水増し請求が大きな社会問題となって以降、揺れ続ける中古車業界。複数の販売・買い取り大手企業でも不正が明らかになり、業界全体に厳しい視線が向けられている。 自社の事業活動への影響や、業界の信頼回復には何が必要か。中古車買い取り大手カーチスホールディングス(以下カーチスHLD)の長倉統己社長に聞いた。 【写真】中古車業界で中堅のカーチス。車両の買い取り・販売でナンバーワンを目指している。 ■内在していた問題が一気に表に出た ――中古車業界では不祥事が相次いで発覚しました。
そもそも中古車業界自体が変革しなければならないタイミングにきていた。中古車という商材は古物なので、一物一価でいろいろな価格の付け方があって然るべきではある。 だが、それが客観的にできていたかというとそうではないと思う。同業の数が増えて大手が巨大化し業界が過当競争になる中で、今まで内在していたさまざまな問題が一気に表に出てきた。 ――変革するタイミングだとして、どのような変革が必要なのでしょう。 新車を売るのは新車ディーラーで、中古車業界のビジネスは車の買い取りから始まる。ただ、買い取りというのは、査定のノウハウさえ持っていれば、営業スキルがさほどなくてもできてしまうものなので、同業がたくさん出てきて単なる価格競争になってしまっていた。
だからこそ、中古車ビジネスの柱の1つである販売が重要だ。販売と言っても「売って終わり」ではなく、車両販売後もお客様と長く付き合い、そこに付加価値を見出していく、“生涯顧客”を獲得するようなビジネスに変えなくてはならない。 ――金融業界出身の社長の目には、中古車業界が透明性に欠けると映っていますか。 透明性がないということは決してない。さきほども言ったように中古車は一物一価なので、お客様と会社がお互いに納得した値付けがなされればいい。ただ、標準的な、客観的な値付けができる仕組みができていたかというと、それはそうではない気もしている。