「昭和を冷たく笑う人」たちが「日本の分断」を招く理由 「共通の記憶」なき私たちに未来は描けるのか?
■昭和の何を継承し、何を変えていくのか 共通の記憶をなくした私たちは、価値を共有し、未来を構想していけるのだろうか。 昭和を生きた世代は、この現状を、どのように引き取るのか。事態を傍観し、過去の栄光に酔いしれながら、こっそりとこの世を去っていくのか。 令和を生きるこれからの世代は、この現状を、どのように引き取るのか。他者を断罪し、国民という名の一体感を生みだす手法は、民族主義や排外主義、伝統主義だけではない。
「昭和かよ!」に感じる不快さを私は大事にしたい。そして、その言葉が人びとの心を捉える理由を考えること、昭和の何を継承し、何を変えていくのかを議論することにつなげていきたい。歴史に学ばず、過去を切り捨てる国民に未来はないのだから。
井手 英策 :慶應義塾大学経済学部教授