「同居してくれてありがとう。この家は、パパからお前に贈与する」「やったぜ、ラッキー!」2,500万円の家屋、贈与税はいくら?【公認会計士が解説】
相続時精算課税制度の「メリット」と「注意点」
相続時精算課税のいちばん大きなメリットは、「納税が先送りされる」ことだといえます。 2,500万円までの贈与は贈与税を前払いする必要がないため、それに対する贈与税の資金が、将来の相続時まで先送りされるのは助かるはずです。もうひとつは、2024年から導入された基礎控除ですね。毎年110万円の基礎控除を非課税枠として使えるから、その分だけ節税になります。 また、毎年の110万円は、贈与財産から控除されていき、相続税申告のときも相続財産に加算する必要がありません。つまり相続税の非課税枠となります。 生前贈与により「個人財産の増え過ぎ」を抑制することには、大きな意味があります。例えば、賃貸不動産や金融商品などを保有していると、家賃や配当金でお金が増えていきます。もちろんこれは大変ありがたいことですが、もし所有者本人にお金を使う予定がなければ、せっかく積み上がった資産は将来の相続財産となり、高額な相続税を納めることになります。しかし、生前から早めに贈与しておけば、若い世代が有効活用できるうえ、相続税も圧縮できるので、メリットは大きいのです。 大切な子どもや孫の生活が豊かになるのは喜ばしいことです。住宅購入時や、会社経営などで多くの資金を必要なとき、2,500万円まで贈与税を気にせずに贈与できるのはとても助かります。 ただし、相続時精算課税での贈与には、注意点もあります。 それは、土地の贈与の際に相続時精算課税制度を適用すると、いざ相続の段になって、土地の評価を80%下げて土地にかかる税金を大幅に減らせる「小規模宅地等の特例」を使えなくなる点です。 金額が大きくなりますので、この点は十分に考慮の上、活用していきましょう。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)