カビ混入「危害要因」と認識せず 小林製薬紅麹問題巡り大阪市が調査結果公表、国に報告へ
小林製薬(大阪市)が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントによる健康被害を巡り、大阪市は26日、腎障害を引き起こす天然化合物「プベルル酸」が発生した原因と考えられる青カビの混入を同社が「危害要因」と認識していなかったとする調査結果をまとめた。今年度内にも国に報告する方針。 厚生労働省は9月、同社がサプリを製造していた工場で採取した青カビを培養したところ、プベルル酸を検出し腎障害を引き起こす物質と特定。青カビは紅麹菌を培養する過程で、外部から混入した可能性が高いとしていた。大阪市では一連の健康被害が食中毒にあたると判断し、工場での立ち入り調査や社員への聞き取りなどを行った。 26日に市の対策会議で公表された調査結果では紅麹菌の種菌の培養や植え付け作業、サンプルを取り出す作業がカビの混入経路になった可能性を指摘。工場では衛生管理計画でカビ混入の影響が「ハザード(危害要因)」として記載されていなかったことや、培養装置に経年劣化で亀裂ができ空気が漏れていたり、培養に関する記録に不備があったりしたことなども明らかになった。 国への報告では調査結果をもとに、衛生管理記録の漏れや機械の損傷に関する内部報告などで、課題を解決する管理体制が不十分だったことなどを盛り込む方針。 また、市は同日、行政指導として同社に対し、健康被害のあった対象商品の廃棄を指示した。同社に廃棄計画書の提出を求めた上で、追加調査のためのサンプルと消費者からの回収分計8万4千個を除いた約41万6千個を、来月にも市の立ち合いのもとで廃棄する予定。