牛66頭を襲撃“OSO18”の出現や軽トラに体当たり…クマ出没が相次ぐ北海道で猟友会が駆除要請に難色、背景に「ハンターがすべて責任を負うこと」への危機感
一審の判決は、池上さんの訴えが認められましたが、先月、札幌高裁は「クマを貫通した銃弾が跳ね返り建物などに到達する恐れがあった」として発砲は違法だったと指摘。一審判決を取り消し、池上さんは逆転敗訴となりました。
北海道猟友会砂川支部 池上治男さん 「安全を確保した状態でない限り発砲しない。そこに人がいるところに撃つわけないでしょ。そんなことを平気で判決理由に書くところは理解できない」
「ハンターがすべての責任を負うことになる」
クマが出没し住民に危害が及ぶと判断された場合、多くの自治体は猟友会のハンターにクマの駆除を要請しているのが実態です。 北海道猟友会は、砂川市でのヒグマ駆除の発砲をめぐる判決を念頭に、体制が整備されていない自治体からの駆除要請を拒否することを検討しています。 北海道猟友会の堀江篤会長は、今回の踏み込んだ検討に至った理由について「ハンターがすべての責任を負うこと」への危機感を挙げています。
猟銃を持たず地元をパトロール
池上さんは、毎朝市内を巡回し、学校や住宅地の近くにクマの痕跡がないか確認しています。池上さんが暮す空知地方は、クマの出没が多い地域ですが、いまなお猟銃の携帯が許されていません。池上さんは、判決を不服として最高裁に上告しています。 北海道猟友会砂川支部 池上治男さん 「地域住民の人は理解してくれているし、実際、砂川市でもまだヒグマが出ている。この状況でダメだというのならもう全然どこでも撃てないよね」
鈴木知事は環境省に陳情へ
こうした事態を受けて鈴木知事は18日、猟友会の堀江会長と環境省に出向き、地域の実情を伝える予定です。 鈴木直道知事 「会長も是非行きたいんだと。直接いろんな悩みがあるので法律を提案していく状況もある中で、お話したいということなんで是非出来るだけ早くそれをやりたいと思ってます」
駆除の在り方を見直すターニングポイントになるか
鈴木知事は、市町村によって猟友会への対応や連携にバラつきが生じていることについて、道が振興局ごとにある「連絡協議会」を活用して関係者間の連携強化を図るとしています。 その後、北海道猟友会は「市町村からのヒグマ駆除要請については、誠実に対処することとしていて、現時点でその方針に変わりがない」とコメントを発表していますが、負担や責任を民間に押し付けた枠組みはそのままです。 駆除の在り方を見直すターニングポイントになるのか。猟友会は、年内に会議を開いて、正式な方針を決定するとしています。
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