牛66頭を襲撃“OSO18”の出現や軽トラに体当たり…クマ出没が相次ぐ北海道で猟友会が駆除要請に難色、背景に「ハンターがすべて責任を負うこと」への危機感
北海道猟友会が、自治体からのヒグマ駆除要請に難色を示しています。背景にあるのは、自治体や警察との連携が不十分で、猟友会に負担や責任を押し付けている現実です。 牛66頭を襲撃“OSO18”の出現や軽トラに体当たり…クマ出没が相次ぐ北海道で猟友会が駆除要請に難色 クマと人の「距離の近さ」が問題になる中、“駆除要請拒否”の姿勢をにじませる猟友会の真意を見つめます。
駆除体制が維持できなくなるおそれ
今年4月、北海道根室市の林道で、軽トラックがヒグマに襲われました。ワイパーが折れ曲がりフロントガラスが割れるなど車体は損傷しました。幸い、運転していた男性にけがはありませんでした。
また去年11月には、北海道南部の大千軒岳で、男子大学生がクマに襲われて死亡。同じころ別のグループも襲われ、消防士2人が負傷しました。いずれも同じクマによる被害とみられています。
北海道東部の標茶町や厚岸町では、数年前から放牧中の牛が少なくとも66頭が襲われていました。ハンターの追跡や罠を幾度となくかわしてきたことから「忍者グマ」と呼ばれた「OSO18(オソ)」。去年8月、そのオソが駆除されていたことが判明しましたが、それまで道東周辺ではオソの出没におびえる日々を過ごしました。
北海道で相次ぐクマの出没。去年道内では、ヒグマの目撃通報が4000件を超え、過去最多となりました。 こうしたクマの出没を受けて、駆除に向かうのは、ほとんどの場合、自治体から要請を受けた地元の猟友会です。 そのため、もし猟友会が要請を拒否した場合、駆除を担う体制が崩壊するおそれがあります。
駆除要請に難色を示す背景に高裁判決「発砲は違法」
今、北海道猟友会は、自治体からのヒグマ駆除要請に難色を示しています。異例ともいえる今回の検討の背景には、猟友会砂川支部の池上治男さん75歳が提訴した裁判があります。 北海道猟友会砂川支部 池上治男さん(75) 「警察官も市の職員もいたんだよな。ここは住宅密集地域じゃないから(発砲の)許可も得てるし、どうしても撃ってほしいということで駆除しろと」 2018年、砂川市の要請を受けてクマを駆除した池上さんは、その後「銃弾が住宅に届くおそれがあった」として北海道公安委員会に猟銃所持の許可を取り消されました。 池上さんは「クマの背後には斜面があり、銃弾が住民に当たる可能性はなかった」として処分の取り消しを求め提訴。
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