“SNSと選挙”を考える…規制は必要か?偽・誤情報に対処するためのルールのあり方は
時代遅れの公職選挙法は見直しが必須
竹俣紅キャスター: 2013年に改正された公職選挙法ではインターネットの選挙運動で「候補者に関する虚偽事項の公開」「悪質な誹謗中傷」などが禁止され、違反した場合は処罰の対象に。だがSNSの偽・誤情報への対処には不足か。 三浦博史 選挙プランナー アスク(株)代表取締役社長: 公職選挙法上に具体的に書いていなければ警察も取り締まらない。その意味でまだ時代遅れなところがある。 川上和久 麗澤大学教授: 現行法をきちんと運用すればSNSの時代にも役立つ部分があると感じる。この処罰は下手すると選挙権・被選挙権を失うもので、重い。虚偽事項の公開など、SNS以前の部分できちんと取り締まり、延長線上でSNSにおいても取り締まることが重要。 河野太郎 前デジタル相: 公職選挙法はかなり危ない法律。突然解釈が変更されることがある。SNSについても非常に曖昧。不思議なルールも多く、何がダメなのかをもっと明確にしなければいけない。今は超党派のグループで議論しており、2025年夏の参議院選挙までにやる部分と時間をかけて根本からやる部分について話している。 越田謙治郎 兵庫県川西市長: 虚偽事項公表罪は故意でなければ立証が難しい、というのが現行法の解釈。SNSの規制では、故意かどうかより虚偽であったかという事実認定をしっかりすることが重要。また、今の公職選挙法は各自治体が取り締まりの範囲。だがSNSでは一自治体の選挙に対し日本中、国外からも選挙活動ができる。基本的な形を見直す時期。 竹俣紅キャスター: 2024年5月に情報流通プラットフォーム対処法が成立。誹謗中傷投稿について、運営事業者に投稿の削除を申請する窓口の整備や手続きの公表などを義務づけたもの。 川上和久 麗澤大学教授: 選挙の不正はだいぶ防げる気がする。ただ、虚偽情報の削除などを行いフェアな選挙や政治活動を実現する形でプラットフォーム側が協力しなければ、この法律が生きないという懸念はある。 河野太郎 前デジタル相: 開示請求して裁判をするとしても手続きに何カ月もの時間がかかる。裁判官も手いっぱい。よりスムーズに対応できる体制を考えていく。プラットフォームに巨額の罰金を課す法律まで考える必要があるかも。 反町理キャスター: 憲法21条に定められる表現の自由とぶつかる部分は。 河野太郎 自民党選挙対策委員長代理 前デジタル相: 表現の規制をするわけではない。まずは三浦さんの話にあった動画投稿による収益化、運動員買収になってしまう点を議論する。次の段階で誤情報への対処。 反町理キャスター: プラットフォーム側に選挙関連の投稿での収益化をやめろという話を海外では聞かない。日本の公職選挙法が異質だとならないか。 川上和久 麗澤大学教授: アメリカではお金持ちが10億、20億かけてテレビCMをバンバン打って当選してしまう。日本国民はそうではなく、自分の努力で発信し当選していく選挙を望んでいる部分があると思う。 そうした仕組みは残しつつ、ビジネスライクな部分に蓋をする。難しいが与野党で議論し落としどころを探らざるを得ない。