子どもがいない人が感じている職場でのしわ寄せとは? 意図しない分断が生まれてしまう理由とは?
小林 私自身も結局子どもがいない人生を歩んでいて、でもそこに別に負い目を感じているわけじゃないんですけど、"子どもがいないことについて何か言われるなぁ"と思うことはあります。気にしない時もあるけど、なんか引っ掛かる!?みたいな。自分の人生が否定されている気がしたり、それまでそんなことを思っていなかったのに、引っ掛かることを言われたのがきっかけで、"あれ?子どものいない私ってダメなの?"と自信がなくなっちゃったり。そういったことがたしかにあるな、とは思います。 子どもがいないことを言ってくる方の多くは無自覚で、悪気があって言っているわけではないと思うんですよ。だからこそ、職場でも意図しないまま分断が生まれてしまうんでしょうね。何か解決策はないかなって実は昔から考えているんです。 朝生 前の調査に先立って、日本経済新聞が「女性活躍推進法のメリットを感じていますか?」という調査を実施しました。そこで子どもがいる人といない人を分けたときに、子どものいる人はメリットを感じている方がとても多くて、子どもがいない人は少なかったんですね。 現状、女性活躍支援のための施策のターゲットになっているのは、「お母さん」です。 小林 F30プロジェクトでも企業の女性活躍支援についての取り組みを取材していますが、肌感としても、女性活躍支援=子育てと仕事の両立、という施策は多い気がしています。女性のライフステージは子育てだけじゃないのに!と思ってしまうことは、正直ありますね。 朝生 アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)と言っていいと思います。「女性は子育てするもの」という前提が無意識に置かれているのでは。その結果、子育てする人とそのイベントがない人とでは、前者へのサポートが優先されることになる。意図しない分断を生んでしまう社会構造や社会通念、性別役割分担のしがらみがまだまだある。だけど、そうした歪みを是正しようという動きも出てきています。 最近ですと、子どもがいる人の仕事をカバーしている人に手当を出すという企業もあります。制度や取り組みは多分できていくと思うのですが、私はやっぱり組織文化が鍵になると思って、引き続き調査しています。 小林 その調査について伺うことはできますか?