「これからも霧島を支えて」 霧島国際音楽祭・音楽監督の堤剛さんに文化勲章 南日本文化賞とのダブル受賞に沸く地元
政府は25日、2024年度の文化勲章を、チェロ奏者で霧島国際音楽祭音楽監督の堤剛氏(82)ら7人に贈ることを決めた。 【写真】〈関連〉霧島国際音楽祭の期間中に訪れた誕生日を祝い、演奏家に囲まれる堤剛氏=2022年7月、霧島市のみやまコンセール
堤氏は1942年、東京都出身。小澤征爾氏と共に齋藤秀雄氏に師事した。日本クラシック界の第一人者で、現在はサントリーホール(東京)の館長を務める。 1991年、霧島国際音楽祭(鹿児島県)に講師として初参加。創設者の故ゲルハルト・ボッセ氏の指名で2001年に音楽監督を引き継いだ。今年9月には第75回南日本文化賞(南日本新聞社主催)にも選ばれている。 今回、60年以上にわたるオーケストラとの共演やリサイタルといった国内外での活躍、後進育成への尽力や、関係団体の要職にあり、芸術文化の振興に寄与したことが評価された。 文化勲章の親授式は11月3日に皇居で行われる。文化功労者には南日本書道展審査員長の書家、高木聖雨氏(75)ら20人に決まった。 ◇ チェロ奏者の堤剛さん(82)は、長年、霧島国際音楽祭(鹿児島県)の音楽監督を務め、県民表彰を受けるなど鹿児島とのゆかりが深い。県内の関係者からは「これからも霧島を支えてほしい」「おめでたい」と祝福の声が上がった。
霧島国際音楽祭鹿児島友の会の福壽浩会長(68)は「素晴らしい演奏だけでなく、後進育成など貢献は計り知れない。南日本文化賞とダブルの栄誉となり、素晴らしい」と喜ぶ。「霧島に強い思い入れを持っている方。これからも音楽祭を成長させて」 堤さんのファンで長年演奏を聴いている鹿児島交響楽団副楽団長の福原洋子さん(60)は「いつも堂々とした演奏で、独特な低音の響きを会場全体に届けるテクニックに心を打たれる。鹿児島の音楽界にとって誇り」と語った。 音楽祭の期間中、会場のみやまコンセール(霧島市)で講師や受講生らに昼食を提供する同市牧園の焼き肉店「焼肉厨房わきもと」の脇元敬社長(55)は「屋外で霧島の風を感じながら食べるのが好きなよう。お代わりを欠かさず、毎回『ごちそうさまでした』と声をかけてくださる」と気取らない人柄を明かす。 期間中に訪れる誕生日が同じで、互いに祝いの言葉をかけ合うのも恒例になっている。「ご縁があって親しくしてもらっている。とてもめでたく、うれしい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島