イランの戦略変化の背景――「戦略的忍耐」修正とロシアへの傾斜を手がかりに
イランはロシアへの傾斜を強めており、中国、北朝鮮などとともに「反欧米枢軸」とも呼べるネットワークを築きつつある(Melnikov Dmitriy/shutterstock)
本稿の関心は、イランは戦略を変化させたのか、そうであるとすれば変化の背景は何かの考察にある。 このような問いを立てる理由の一つは、4月13日夜、イランが史上初めてイスラエル本土に対し、300発以上のミサイル・ドローンを用いて報復攻撃を仕掛けたことである。イランがイスラエル側に事前通告していたこと、並びに、人口密集地を避けイスラエル側に死者を生じさせなかったことに鑑みれば、イランの行動は抑制的だったといえる。 他方、イスラエル本土に直接攻撃を仕掛けた点では、これまでの「戦略的忍耐」から逸脱したとみなすこともできる。さらに、イラン政府高官から核ドクトリンの修正を仄めかす発言も聞かれる他、エビラヒム・ライシ大統領が ヘリコプター墜落事故で不慮の死 を遂げるなか次期大統領選挙が6月28日に予定されるなど、イランの今後の動向が世間の耳目を集めている。
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青木健太