1億7400万円で「カウンタックLP400」が売出中! 高値の理由は「ペリスコピオ」に加え、20年も空調管理で保管されていたから
来歴、現状のコンディションともに申し分のない個体なのに……
今回RMサザビーズ「MIAMI 2024」オークションに出品されたランボルギーニ クンタッチは、シャシーナンバー1120172。86台目に生産されたといわれる、初代LP400ペリスコピオである。 「ブル・タヒチ(Blu Tahiti)」のボディに「タバコ(明るいブラウン)」の本革レザーインテリアという印象的な色合いで仕上げられ、エアコンと2つの外部バックミラーを備えたこの個体は、本社工場を1975年12月22日にラインオフ。約1カ月後の1976年1月29日、カナダにおけるランボルギーニのインポーター兼正規ディーラーであるキャリー・ユージーンに引き渡されたのち、オンタリオ州トロントのポール・マーシャルのもとに新車として納車された。 マーシャルは下半身不随であったが、その障害をものともせず、新しい愛車クンタッチを10数年にわたって楽しんだという。彼はハンドコントロールを取り付け、生まれ故郷のトロントを頻繁にドライブ。トロントの古い街並みを宇宙船のようなカウンタックが走る様は、まるで別世界の光景だったことだろう。 このLP400にとっては2代目となるオーナーもトロント在住で、1990年代初頭に友人の紹介によってポール・マーシャルから購入した。彼はそののち数年間はクンタッチを定期的に使用し続けたそうだが、このクンタッチはフルレストア後にすべての油脂・液体を抜いた状態で、空調管理された施設に適切に保管。その後20年間、静態保存されていた。 しかし20年近い沈黙を破るように、このLP400はトロント市内のランボルギーニ・スペシャリストによって眠りから覚めることになる。そして、2013年には有名な「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」に招待され、その会場で審査員の称賛を獲得。熱い戦いが繰り広げられた「ランボルギーニ」クラスで、値千金の2位に入賞した。 その2年後、クンタッチはジェリー・サインフェルドのテレビ番組「Comedians in Cars Getting Coffee」のエピソードに、コメディアンのジム・キャリーとともに登場。また「ジェイ・レノズ・ガレージ」でもフィーチャーされ、ジェイ・レノと「シャーク・タンク」のロバート・ヘルヤベックがこのLP400に乗り、のどかな「アンジェルス・クレスト・ハイウェイ」をエキサイティングにドライブするさまを披露した。 そして2017年に、今回のオークション出品者でもある現オーナーによって入手されたこの素晴らしいクンタッチLP400は、新車として工場から出荷された時と同じ純正の「ブル・タヒチ」のエクステリアに、正しく施工された「ビスケット」レザーの補修用インテリアを組み合わせ、美しいコンディションに維持されている。また、ナンバーズマッチのエンジンを維持していることも、正統性が問われるこの種のクルマとしては非常に重要なセールスポイントといえよう。 このクンタッチLP400ペリスコピオには、現オーナーとRMサザビーズ側が協議した結果として、110万ドル~140万ドルというエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。ところが、実際の競売ではビッド(入札)が最低落札価格まで届くことなく「Not Sold(流札)」。現在ではRMサザビーズ北米本社営業部門にて115万ドル、つまり約1億7400万円の正札価格とともに、個別商談に応じる「Asking」となっているようだ。 現状のはりだし価格であっても、われわれ日本人にはけっこうな高値にも映るかもしれないが、それは円安の続く現在の為替レートで換算するから。 つい1~2年前までの相場ならば、エスティメート上限を超えるプライスでも順当だったはずながら、やはり2024年春における国際マーケットは、おおむね高値安定のまま落ち着いているとも考えられるのである。
武田公実
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