被爆者千人の証言をイメージしたオブジェも展示 被団協の平和賞受賞 オスロで企画展
日本被団協のノーベル平和賞受賞に合わせた企画展「人類へのメッセージ」の一般公開が12日、ノルウェー・オスロのノーベル平和センターで始まった。被爆者の証言や惨禍を多様な手法で表現し、核兵器が二度と使われないための行動の大切さを伝える。来年11月まで。 11日、開会式で企画展の開会を宣言する日本被団協代表委員の田中熙巳さん(左から2人目)、箕牧智之さん(同4人目)、田中重光さん 広島県産スギの木片2枚をくぎを使わずに組み、千個を並べたオブジェは被爆者の証言をイメージ。一つ一つに被爆時の年齢や性別、爆心地からの距離が刻まれ、手にとってあの日に思いを寄せる仕掛けで、建築家の隈研吾さんが出品した。 「核戦争が人間にもたらす苦しみ」を伝えるとして故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」を紹介。主人公ゲンが被爆する場面のアニメも流す。11月に撮影した被爆者の等身大の写真や広島原爆投下当日の写真、被団協の活動資料も並べる。 訪れたトロンヘイム市のカリ・トールバリグセンさん(74)は「子や孫のために原爆で何が起きたか知りたい。木のオブジェは被爆体験への想像をかき立てる」と話した。 先立つ11日に開会式があり被団協の代表団が参加。代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)は「原爆の被害を目で見て、耳で聞き、頭で考えなければ廃絶への努力はできない。被爆者の真実の声を聞ける場所が必要」とあいさつした。
中国新聞社