人口減少・競争激化への対応力が企業の生存戦略の鍵…これからの時代は「顧客中心の経営が必須」と断言できる理由
これからは「顧客中心の経営」が必須の時代になる……そう話すのは、株式会社Asobica取締役CCOの小父内信也氏です。本記事では、小父内氏の著書『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流』(幻冬舎)より一部抜粋し、その理由について詳しくご紹介します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
「顧客中心の経営」が注目される4つの理由
これからは「顧客中心の経営」が必須の時代になります。そもそも、顧客を無視して企業は成長できるでしょうか? 答えはNO。つまり、「顧客中心の経営」は、ビジネスにおいて避けては通れない道であり、必然と言えるものです。そして今後その重要性は増していくと、私は考えています。 背景には、大きく4つの理由が関係しています。 理由1:人口減少によるLTV最大化へのシフト理由2:多様な競合の出現~独自の価値に基づいた差別化が求められる時代~理由3:情報爆発時代の到来~信頼できる情報を求める現代ユーザー~理由4:ロイヤル顧客による売上貢献度の高まりここでは上記のうち、理由1「人口減少によるLTV最大化へのシフト」と理由2「多様な競合の出現~独自の価値に基づいた差別化が求められる時代~」を取り上げていきます。
人口減少によるLTV最大化へのシフト
ご存じの通り、世界的に人口は増え続けていますが、日本においては人口減少が進行しており、2050年までに1億人を切るという予測が出ています。そもそもサービスの対象となる人口が減っているわけです。 これは中長期課題ではありません。すでに日本の総人口は毎年50万~60万人減少し続けています。今後、その限られたパイを競合企業が奪い合う熾烈な競争環境になることは、容易に想像できるのではないでしょうか。 当然のことながらマーケットが縮小することは、顧客数の減少を意味しており、売上利益の向上の大きな障壁となります。 こうした状況の中、人口減少を起因とした、LTVの最大化へのシフトが起きています。LTVとは、ライフタイムバリュー(Life Time Value)の略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれています。特定の顧客から、生涯にわたって得られる利潤を定量化して追い求めていくビジネスの指標です。LTVは次の式で算出されます。 LTV=購買単価×購買頻度×顧客期間(自社の顧客であり続けてくれる時間) LTVを伸ばすためには、単価も頻度も重要ですが、期間を長期化するための施策も必要なのです。 もしかすると、顧客Aさんが駄目なら顧客Bさんを育成すればいいと考える人もいるかもしれません。しかしAさんの代わりはいない。日本はそういう時代に突入しているのです。 目の前の売上、今期の売上だけを見ていては、LTVは伸びませんし、ビジネスの持続可能性も低下してしまうことになります。つまり、顧客中心の経営は、いまの顧客を見つめて未来をつくる経営マーケティング手法なのです。 持続可能な企業であるためには、ロイヤル顧客にフォーカスして、現在の顧客と長く良好な関係値を築いていく。これは、日本の企業がいま選択すべき生存戦略と言えるでしょう。 LTVが重視される背景~月額定額制サービスによって変化した、顧客との関係性~ 昨今、さまざまなサブスクリプションサービス、月額定額制のサービスが登場し、ものすごい勢いで私たちの生活に浸透しました。お馴染みのAmazonプライムやNetflix、各種音楽配信サービスだけでなく、ランチやお酒を定額で提供する飲食店も珍しくありません。 私の身の回りを見ても、絵画のレンタル、コーヒーやパンの定期便、雑誌の定期購読、洋服や靴、カバンなどアパレル関連のレンタルなど、あらゆるものがサブスクリプションサービス化しています。 サブスクリプションサービスは、売って終わりではなく、つながり続けるビジネスモデルです。以前はサービスの契約を取るまで、もしくは商品を購入してもらうまでが、売上のほぼすべてでした。つまりマーケティング&セールスが中心の事業モデル。一方で、サブスクリプションサービスは、いかに顧客の満足度を向上させ、顧客との関係性を強固にできるかが、売上に直結します。 そのためLTVは昨今、企業のもっとも重要な成果指標のひとつになっています。つながり続けるビジネスが成功を収めるなかで、ビジネスもマーケティングも「LTVの最大化へシフト」してきているわけです。 「売って終わり」の時代は、とうの昔に過ぎ去りました。現代は、顧客との末永い良好な関係こそが、事業の成功の鍵を握っているのです。だからこそ、顧客を中心としたマーケティングやカスタマーサクセス、顧客コミュニティを事業活動の中心に据える企業が増えてきているわけです。 そうでなければ、あっという間に競争から置いていかれてしまう。そんな時代がもうすでに、到来しているのです。
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