ニーチェ『道徳の系譜学』では明らかにされなかった人類の”道徳的価値観”の起源…気鋭の哲学者が学際的アプローチで「人類500万年の謎」に挑む!
今明かされるモラルの歴史
モラルの歴史は、従来の意味の歴史書とは趣が異なる。従来の歴史書では、具体的で、多かれ少なかれ記録されてきた出来事が中心になる。 一方、モラルの歴史で重視されるのは、出来事のあった年と名前ではなく、おそらく正しいと思われる説得力のあるシナリオのほうだ。いわば「深い歴史」である。 出来事の正確な推移は決してわからない。過去という名の泉はあまりにも深い、あるいは底がないからだ。 そのため、可能な限りさまざまな分野に頼る必要もある。遺伝学、古生物学、心理学と認知科学、霊長類学と人類学、哲学と進化論などがそれぞれの見方を示し、それらを融合させて全体像を結ぶ。 本書の物語はニーチェが信じていたように、人類の価値観の“恥ずべき起源”を明らかにするだろうか?この物語が終わっても、私たちは互いを愛せるのか?不都合な真実が明るみに出たら、価値観に対する信頼が崩壊してしまわないだろうか?人間のモラルは精査に耐えられるのか?それとも、がれきとなり、恥と憎しみにまみれることになるのか? この先、私たち人類がどのような関係を築いて生きていくのか、生きていくつもりなのか、誰にもわからない。わかる必要もない。私たちの道徳的価値観はヘッドライトのようなもの。遠くまで見渡すことはできないが、光に頼れば遠くまで行ける。 本書は、光に頼って遠くへ行く旅の物語だ。物語は500万年前に始まる。 『人類最古の祖先が残したものは「ショッピングカート半分ほどの量の化石」だけ…過酷な新世界へたどり着いた「ヒト族最初期」の進化史を振り返る』へ続く
ハンノ・ザウアー、長谷川 圭
【関連記事】
- 【つづきを読む】人類最古の祖先が残したものは「ショッピングカート半分ほどの量の化石」だけ…過酷な新世界へたどり着いた「ヒト族最初期」の進化史を振り返る
- 【はじめから読む】ニーチェ『道徳の系譜学』では明らかにされなかった人類の“道徳的価値観”の起源…気鋭の哲学者が学際的アプローチで「人類500万年の謎」に挑む!
- 最も誠実な研究者でさえ抗えない「誘惑」…チンパンジーやボノボの“化石”がほぼ全く見つかっていない衝撃の理由
- 最初の人類の祖先は「“頭蓋骨”を割って指で器用に“脳みそ”をすくって食べていた」!?…現代とは全く異なる“原人”の驚きの姿
- 《バブル崩壊、中国だけでは止まらない》「空前の値上がり」で世界経済は破綻寸前…!各国のゼロ金利政策が招いた「エブリシング・バブル」の危機