「亡命準備はバッチリ」だったアサドと家族の優雅なロシア暮らし
政権崩壊によってシリアから離れた前大統領のバッシャール・アサド。彼はいま、モスクワ近郊の高級住宅街、または彼の親族が手に入れたモスクワ中心地の高級物件の一軒で家族と暮らしていると英メディアは報じる。だが、元独裁者の新生活について、ロシアやアラブのメディアに伝わっている情報はほとんどない。 【画像】「家族総動員体制」の家業に振り回される「独裁者の子供たち」 2024年12月8日、シリアでの政権崩壊を受け、バッシャール・アサドはシリアを脱出し、「人道的理由から」受け入れを認めたロシアに亡命した。彼がロシアに入国して以来、彼とその肉親ら──2度目のガン治療をモスクワで受けていた妻のアスマ、数週間前にモスクワ国立大学で論文を発表した長男ハーフェズを含む3人の子供たちと再会したことは間違いない──が、どこに滞在しているかはほとんど知られていない。
モスクワの高級物件
英日刊紙「i」は、彼らが「おそらくロシア政府の『ゲスト』として、モスクワ郊外の高級住宅街にある政府所有の別荘に滞在している可能性がある」と伝え、「モスクワのビバリーヒルズ」と呼ばれる、高級住宅街ルブリョフカを一例に挙げる。あるいは、「アサド家の一員が密かに彼らの名義で取得した、モスクワ市内の高級物件の一つにいる」可能性もあると続ける。 英紙「タイムズ」は、汚職や人権侵害などを監視する国際NGO「グローバル・ウィットネス」による情報として、バッシャール・アサドの母方の親族、マフルーフ家が2013年から2019年にかけ、モスクワの金融街に「最大で20軒の不動産」を3000万ポンド(現在の為替で約58億円)以上で購入したと報じる。 具体的には、キャピタル・シティや、ボストーク・タワー(ロシアで最も高いビル)のような「街を一望できる、豪華な家具付き物件」だ。同じく英国の「フィナンシャル・タイムズ」紙は、シリア高官やアサド一族によるモスクワの高級物件購入への熱狂は、西側の制裁によって金融システムから締め出されて以来、シリアにとってロシアがどれほどの「体制の財政的避難場所になってきたか」を物語っていると指摘する。
Courrier international