ウクライナ南部ドニプロ川の島めぐり攻防 ロシアが掌握なら重大な影響
ロシア軍は過去数カ月、ウクライナの戦線の複数正面で攻勢作戦を強化している。これらの作戦のなかでも、南部ヘルソン州におけるドニプロ川沿いでの一連の小規模な戦闘は、結果次第では重大な影響を及ぼす可能性がある。 ロシア軍とウクライナ軍は、ヘルソン市北東のノバカホウカ市近郊のコザツィキー島と、ヘルソン市のすぐ南のデルタ地帯にあるクルフリク島の支配をめぐって戦っている。ロシア側はこれらの小島を確保すれば、ウクライナの枢要な地形であるドニプロ川へのアクセスをコントロールできることになるため、この作戦は戦略上重要な意味をもつ。 ロシア北西部のバルダイ丘陵から黒海まで2200km以上にわたって流れる大河であるドニプロ川は、ウクライナの国土を二分している。首都キーウをはじめ、ウクライナのいくつかの主要都市はこの川の流域に位置している。 ドニプロ川はこの戦争で非常に重要な役割を果たしている。ロシア軍は全面侵攻初期の2022年3月、河口にあり戦略上重要な都市であるヘルソン市を占領した。ヘルソン市は同年11月にウクライナ軍によって解放され、ロシア軍は撤退時に川に架かる橋を何本か破壊した。その後、ウクライナ軍は対岸に橋頭堡を確保しようとしたものの、多大な損害を被り、最終的にはその努力を放棄した。 現在、ヘルソン州はドニプロ川の東岸側をロシアが、西岸側をウクライナが支配している。 ロシア海軍の第61独立海軍歩兵旅団は、コザツィキー島とクルフリク島を制圧するために水陸両用作戦を展開している。両島を押さえれば、ロシア側はそこに砲兵を配置して川へのアクセスを支配できる。これらの砲兵は架橋作戦も支援することができ、ロシア軍はそれに続いてドニプロ川を渡河し、ヘルソン市の再占領を試みることが可能になる。 これらの島々はウクライナ軍の大砲の射程内にあり、ウクライナ海兵隊の第126独立領土防衛旅団がロシア軍の強襲に反撃している。どちらの側も、これらの島を完全に確保することはできていない。