「ただの乗り物じゃなかった…」歴代ドラクエ「空飛ぶ伝説の生物」が生み出す「謎」と「ロマン」
■邪神の攻撃もものともしない純白の鯨「ケトス」
最後は『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』より「ケトス」だ。 “神の乗り物”と称される、巨大な鯨の姿をしたケトス。ゼーランダ山の頂で「天空のフルート」を吹くとその形が釣り竿へと変化し、ケトスを釣り上げるという衝撃の出会いを果たす。 巨大な純白の体躯に記された黄金の紋章から神々しさがにじみ出ているが、そのつぶらな瞳はどこか愛嬌もある。 本編のラスボスである魔王・ウルノーガの根城に突入するためケトスに乗るわけだが、本編クリア後の裏ボスである邪神・ニズゼルファに挑む際には覚醒した姿が明らかになる。 時の番人の力を借りて「天空のフルート」で奏でられた新たな旋律が、ケトスに黄金の鎧と闇の結界を破壊できる角を宿らせるのである。戦闘中にはその背に魔法陣を展開し足場を作ってくれるうえ、最終決戦の激しい戦闘もものともしない安定感で、最後まで主人公たちに寄り添ってくれる頼もしい存在だった。 ちなみに覚醒時とそれ以降の搭乗時に流れる旋律は、『ドラクエ3』にてラーミア搭乗時に流れる「おおぞらをとぶ」。これまた往年の『ドラクエ』プレイヤーの胸を震わせる、粋な仕掛けであった。 その背中に平和への希望を乗せて世界を飛び回ってくれる、伝説のモンスターたち。その多くは重大な決戦の前に力を貸してくれることから、どの作品でもモンスターへの搭乗シーンは士気が高まるような独特の高揚感を味わわせてくれる。 今後もリメイク作品を含めた多くの『ドラクエ』シリーズで、その世界の広さを実感させてくれる空飛ぶ伝説のモンスターたちに出会えることを期待しよう。
ハヤシラマ