伊藤健太郎が“脱法コント”に挑戦「人気芸人たちの表と裏を目の当たりにして気づけた“あること”」
芸人さんの生き様は素直にカッコいいと思う
――前作に続き、さらば青春の光の森田さんや東ブクロさん、ヒコロヒーさんやみなみかわさんがメインキャストに名を連ねています。売れっ子芸人さんのパワーに刺激を受けた瞬間も多いのでは? 伊藤 そうですね。僕は事前にセリフを覚えておかないと現場で不安になってしまうのですが、芸人さんって、本番直前のリサーサルも台本を持ちながらなんです。それなりに長いセリフもあるのですが、皆さん、その場で覚えているんですよね。それなのに、本番が始まるとスイッチが入ってバシッと決めてしまう。コントのプロフェッショナルだから、一瞬で台本を理解して役を憑依させることができるんです。羨ましいくらいすごい能力ですよ。 ――『インシデンツ』シリーズは“脱法コント”がコンセプト。笑いのためなら身を削ってでも、タブーを飛び越えた表現ができるのが芸人さんの武器だと思います。そんな芸人さんの生き様を見て、同じ表現者として感じたことを教えてください。 伊藤 芸人さんって、誰に何を言われても、自分が大事にしているモノややりたいことを貫いている方が多い印象です。一方で役者はどこかで自分の見え方を気にしているし、自分を偽っていなきゃいけない職業だと思っていて。それが悪いと言いたいわけじゃないけれど、芸人さんの突き抜けた生き方を目の当たりにすると素直に「カッコいいな」って思います。 ―――今回、共演した芸人さんの中で、特に印象に残った人はいますか? 伊藤 東ブクロさん(さらば青春の光)です。今回、誰よりも下半身を使ったネタに挑戦されていたので(笑)。でも、撮影の合間に真剣な顔で台本と向き合っていて、喫煙所でタバコを吸っている時間ですら集中力を研ぎ澄ませているんです。そして本番が始まると、全力で自分の役割をまっとうする。まさに職人ですよね。東ブクロさんに限らず、皆さんカメラの前では明るい姿しか見せないけれど、舞台裏ではめちゃくちゃストイックに笑いと向き合っている。人を笑わせることに命がけで取り組んでいらっしゃるので、本当に素敵だと思うし、俳優として背筋が伸びるような感覚になります。