【豊橋新アリーナ】市議会が論点整理
債務負担行為、樹木伐採、市武道館など一般質問が可視化
豊橋市の多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備運営事業を巡り、市議会12月定例会では一般質問で議論が交わされた。11月の市長選でも、アリーナ問題は「わかりづらい」とする市民が多かったという。今回の一般質問では課題を可視化し、誤解しやすい論点の整理を多くの市議が試みた。 一般質問には30人が登壇し、新アリーナ計画や関連する野球場整備、賛否両論ある民意など20人超が長坂尚登市長と市の考えをただした。 総事業費230億円が過大投資だといった異論が残る中、小林憲生氏(自民)は運営事業で発生する維持管理・運営費の収支マイナスについて誤解を生みやすいポイントを挙げた。 「収支マイナス5900万円を毎年、市が税金で負担するという誤解が広まっている」と指摘する小林氏の問いに、市側は「基本計画では維持管理・運営費のマイナス収支を含め、30年で230億円余りの債務負担行為を設定した。毎年5900万円を負担するのではない」と説明した。 多くの公園樹木が伐採されるという点についても「事業者への要求水準書に基づき、豊橋球場跡周辺の高木はできる限り保全する。国有財産の無償貸付契約で、対象樹木をやむを得ず切る場合も景観に配慮して新たに植え替える」などと論点を整理した。 ほか、築50年超で老朽化が激しい市武道館について、川原元則氏(自民)と坂柳泰光氏(同)が再整備の方向性を尋ねた。現在の立地は当初計画でアリーナ建設候補地と同じ朝倉川沿岸で、県が指定する「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれる。新アリーナは修正案で豊橋球場跡へ移設したが、長坂市長は現施設の修繕で対応する考えを示した。 アリーナ計画の契約解除へ向けた事業者との協議申し入れでも、現時点で協議は始まっていないと明らかになった。 住民投票への考えも小原昌子氏(自民)、尾林伸治氏(公明)、諸井菜々子氏(新しい豊橋)が取り上げた。長坂市長は「市民への説明と議論を尽くし、大きな隔たりがあれば一つの手段」とした。一方、市長による住民投票条例の提案は、反対市民の直接請求が過去2度否決され、議会内の構成が変わっていないことから現実的ではないと否定した。
東愛知新聞社