《日本シリーズ出場投手・コスパ比較》先発投手の平均年俸はDeNAが半額、「シーズン登板1イニングあたり」の額もソフトバンク有原がチーム全体のコスパを押し上げる
年俸10億円、ソフトバンク・オスナの働きは…
中継ぎ・抑えの違いも大きかった。ソフトバンクは先発以外に11人が登板したが、その平均年俸は1億1111万円。シーズン中の1イニングあたりの年俸は平均307.1万円だった。対するDeNAは先発以外に9人の投手が投げたが、平均年俸は8436万円。シーズン中の1イニングあたりの年俸は平均215.8万円だった。広尾氏が続ける。 「ソフトバンクのリリーフ陣でコスパが目立って悪いのは12球団の投手のなかでワースト6位(1イニングあたり2608.7万円)のオスナ(29)。昨年オフに退団の噂が出るも、出来高を含めて4年総額40億円の大型契約で残留した。楽天・田中将大(36)を上回る年俸10億円という日本球界ナンバーワンの高給取りなった。 球団側も10億円をドブに捨てるわけにはいかないので、シーズン中から無理にでもチャンスを与えるような起用法を続けたが、ストッパーとして登板38イニングは物足りない数字で、年俸に見合う活躍はできていない。 逆に貢献したのが1年目のヘルナンデス。8回を任されたが、もともとはさほど期待されていなかった。クローザーだったモイネロを先発に回すにあたって左腕の救援投手が欲しいというだけの話だったが、それが頑張って成績を残した。年俸6400万円なので、1イニングあたり133.3万円(ワースト156位)。登板回数でのコスパは先発のほうがよくなる傾向があるが、ヘルナンデスは中継ぎながら先発並みの数字を残した」
DeNA・中川は「1イニングあたり11.4万円」の驚異
DeNAに目を転じると、年俸3億円で守護神だった山崎康晃(32)が今季は37回2/3の登板にとどまり、1イニングあたり796.5万円でワースト31位となったのが目立った。広尾氏が言う。 「ただ、オリックスをクビになってDeNAに拾われて再生した中川颯(26)は1イニングあたり11.4万円。12球団で今季一軍登板のあった348人中339位で、コスパのいいほうから数えて10番目に入った。こうした投手がいるからチームで比較するとソフトバンクよりもコスパがよくなるのです。 ソフトバンクのコスパが悪いのはオスナが年俸10億円、有原が同5億円、モイネロが同3億円と大判振る舞いをしているから。実績がないスチュワートでさえもともとの6年契約(年俸1億1000万円)をさらに2年延長して年俸1億3000万円も払っているような球団ですからね。コスパ度外視の金満球団の特徴でしょう」 勝負は選手に払った年俸で決まるわけではない――コスパのよいDeNA投手陣のはたらきは、周囲を驚かせる下剋上日本一の原動力のひとつとなったのだろう。