前田公輝&久保田紗友、息ぴったりの演技で描くミステリアスなラブストーリー「私をもらって」
――生霊と人間の恋愛模様を描く作品ですが、普通のラブストーリーとは異なる点で、楽しかったことや苦労したことを教えてください。 前田 「最初の設定で、奈津実が稜英の記憶を失った状態で稜英と出会うところから始まります。それ以外は、稜英が常に透けているわけではなく、物に触れられない設定があったり、周囲から見えていないというところが、これまでのお芝居と大きく異なりました。見えないからこその自由度があり、人との距離感を超えて近寄る演技が楽しめました。また、現場ではしばしば『幽霊ではない、殺すな』というセリフが飛び交っていて、それが何度か繰り返される中で、僕自身も『これは死んでいない』と確認し合ったりしました。本当に大きな違いは、目線や触れられるかどうかといった部分で、それが演技の面で新鮮でした」 久保田 「奈津実は生霊をすんなり受け入れている設定でしたので、体が覚えているけど記憶がないという状況が面白かったです。普通の人と話しているのと変わらない感覚でしたが、逆に見えない稜英さんと一緒にお芝居をする時に、稜英さんが言っていることに反応しないようにするのが難しかったです。見えない人たちとのシーンでは、稜英さんの存在を感じながらも、それをほかのキャラクターに悟られないようにするのが大変でした」
――シーズン2まである作品ということで、一つの役柄と長く付き合うことになりますが、時間が経つにつれて役への愛着や新たに好きになった部分はありますか? 前田 「原作を読んだ時から稜英のキャラクターが大好きでした。ただ、そのキャラクターに自分がしっかりアジャストできるか不安もありました。私生活でも稜英らしいことを取り入れました。稜英のセリフは日常ではあまり使わないものが多かったので、それを現実的に落とし込むために、低い声を意識しました。実際、僕の声は低いんですが、それを威厳を出すために使うことを意識しました。クランクインの時よりも声が低くなったと感じています。役を演じていると、その役に影響を受けることが多いので、プライベートでも稜英らしい部分が出てきたのかなと思います」 久保田 「私はまず、自分がすごく大好きになれるような女の子像を作り上げることを意識して奈津実を演じました。彼女に寄り添って役を作り上げていく中で、人に対して感情を表現する素晴らしさを学びました。私は感情表現が苦手なタイプなので、奈津実を通して自分を出すことの怖さが少しずつ和らいできたと感じています。奈津実を演じることで、自分自身も成長できたと思います」