【バスケ】3季連続ファイナル進出の琉球ゴールデンキングス “原点回帰”と桶谷大HCの「信念」がCSでの成長要因に
ボールムーブメントを生む「最大の武器」を強調
4月下旬のレギュラーシーズン最終盤、西地区優勝争いを演じていて名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの大一番で屈辱の2連敗を喫した後、桶谷HCは今シーズンのチームについて以下のように評していた。 「相手の土俵に入ってバスケットをした時に脆さがある。だからこそ、自分たちの土俵でバスケットをできるかということが重要だと思っています。劣勢になった時の判断の悪さはこのチームの一番の欠点だと思うので、どれだけメンタルゲームで余裕を持ってプレーし続けられるかが大事になります」 このセミファイナルに置き換えると、第1戦は千葉Jの土俵で戦い、第2戦以降は最大の強みであるインサイドをスタートから強調し、自分たちの土俵に引きづり込んだという印象だ。「弱みを隠す」というよりも「強みを強調」するという方向にシフトしたように見えた。指揮官にそのあたりの認識を問うと、「どちらもですね」と答え、こう続けた。 「天皇杯決勝や今回の1戦目は自分たちの弱いところを隠し切れず、そこを突かれていました。もちろんボールムーブメントは僕らの強みではあるのですが、それだけではCSは勝てないので、もっと強みを強調して、そこにボール集める。それがダーラムやジャックのインサイドです。あと千葉Jは足が動く選手が多いので、攻略が難しい。だからハードショーに来られるようなシチュエーションをあえて作らないオフェンスプランで戦いました。富樫選手にディフェンスをさせ続けるという部分も含め、選手たちが強調したいところを遂行してくれました」 冒頭で記したように、武器が増えた一方で強調する部分が明確化できず、ぎくしゃくしたオフェンスで流れが停滞する試合も多かった今シーズン。結果、相手ディフェンスを崩せずに得点力の高いヴィック・ローや今村佳太がスクリーンを使って一人でシュートまで行ったり、外でのボール回しのみで3Pを打ったりする場面も散見されていた。 しかし、このシリーズでは最大の武器であるインサイドの強みを優先的に強調するという“原点”に立ち返ったことで、相手ディフェンスが収縮し、個人技やボールムーブメントもより生きてくるという好循環が生まれたのだ。