女性表現者にとって「表現の現場」は「排除と搾取のハイブリッド構造」。表現の現場調査団が「ハラスメント量的調査白書2024」を公開
セクシュアルハラスメント被害は男性が女性を上回る
セクシュアルハラスメントについては、男性の被害数値が女性を上回っている項目が多い。とくに「キス・抱きつく・性的行為を求められる」を選択した男性は19.2%という高い数値になっている。 女性から男性へのセクハラや、男性同士のセクハラは未だ認知が進んでいないこと、また触る、キスなどの行為について、「ほんの冗談だった」と加害者側が考えていることなどが原因だと考えられる。また男性が自身の性被害について声を上げることの心理的ハードルの高さについても指摘された。
女性の表現者は低賃金が常態化
「表現の現場」は全体として、経済的に不安定な傾向があり、そのなかで女性の表現者は、男性表現者以上に低賃金が常態化していることがわかった。現在活動中で表現活動からの収入がある男性表現者の50%が通過できるラインが最多年収400万円であるのに対し、そのラインを通過できる女性表現者は18.6%に過ぎない。 女性の場合は最多年収が100万円~200万円未満のラインを通過できるのは50%以下だという。調査団は、女性にとっては「100万円~200万円未満」に「ガラスの天井」が存在しているとした。 女性表現者の低賃金が常態化には、非正規やフリーランス、自営業といった働き方に男性以上に偏る傾向があることと一部関係していることも明らかになった。また低収入層に女性表現者がとどめ置かれる背景には習い事等の教育産業が女性表現者を「吸引」し搾取しているからではないかとも指摘された。 また指導的立場や社会的評価を得る機会についても、女性表現者は男性表現者よりも少ないことがわかった。「他人の作品・表現を監督・評価・指導する立場」は現在活動中で表現活動からの収入がある男性表現者では25.5%であるのに対し、女性表現者では13.4%で12.1ポイントも差がありました。「権威ある賞を受賞した」経験も男性表現者では12.4%に対し、女性表現者では4.3%で8.1ポイントの差があった。