<街ぶら>市民の命を守る消防隊員の横顔 奈良県・生駒市消防署
大広間のような仮眠室・時には訓練場にも
そのまま近くの仮眠室へ案内されると、畳が敷かれた大広間のような空間が広がっていた。「隊員たちはここで布団を敷いて仮眠をとります。新しい分署では個室にするなどしていますが、ここは1982年に建てられた庁舎で、昔ながらの雰囲気ですね」と辻本さん。 場合によっては、この空間を利用して、救助訓練を行うこともあるという。自分たちの休む場所でも、訓練場にしているとは驚きだ。
若手隊員を中心に「消防メシ」づくり
夜になると、同署の食堂で夕食づくりが行われていた。いわゆる消防メシだ。隊員たちがお金を出し合って食材を調達。それを消防、救急、救助の若手隊員らが中心となって調理していた。 この日は、たくさんのひき肉や卵、野菜などが用意されており、大きな中華鍋や炊飯器も用意されていた。泊りの隊員15人分の米を炊くそうだが「洗っても洗ってもとぎきれませんね」と苦笑する隊員もいた。
消防メシづくりでチームワークも
大きな中華鍋2つを使って、大量のひき肉を炒めたり、この様子だけを映せば、どこかの中華料理屋かと思うほどの光景。しかし、15人前を一気に作り、訓練の後とあって、鍋をふるのも一苦労だ。 その上、119番通報を受け管内には指令音が響き渡り、自分たちの出動かどうかを都度確認する場面もみられた。取材日の夕食時には、たまたま出動はなかったが、隊員らは常に緊張感をもって作業にあたっている様子がかいまみれた。
そうして完成した料理は「三色丼」と「みそ汁」。ベテラン隊員たちも集まり、若手隊員が作った料理をみんなで食べる。「最近では、弁当などを導入する消防署も多いと聞きますが、ここでは昔ながらに調理をしています」と辻本さん。こうした作業を通して各隊員らがコミュニケーションをとり、いざという時でもきびきびとしたチームワークで動くことにもつながっていくという。
署長「がんばってくれる部下が自慢」
市民の命と財産を救うため、日夜、出動などに備える隊員たち。そんな隊員たちを見守るのは、同署署長の川端信一郎さん(56)。「隊員たちががんばってくれる姿勢、これをみて自分もエネルギーをもらっています。私は部下が自慢です」と力強く語る。 筆者が取材した際も、何度か出動がかかり、隊員たちは一気に車両へと駆け、サイレンを鳴らして現場へと出動していった。正月なども関係なく、隊員たちはきょうも変わらず勤務についている。