現在70歳ですが身寄りがなくこの先の生活が不安です…。利用できる国の制度などはあるのでしょうか?
親族や家族などの身寄りのない方は、身体的な衰えや病気などから、自分で金銭面や身上管理ができなくなるリスクがあります。そのような場合は、国の公的サービスを利用することで解決できる可能性もあるでしょう。 今回は、身寄りのない方に起こりうるリスクや、万が一の場合に備えて活用できる公的サービスを解説します。
身寄りがない高齢者に起こりうるリスク
もし、親族や家族がいない一人暮らしの方が老後を迎えると、生活や葬儀、相続などに関して、さまざまなリスクが懸念されるでしょう。 例えば、認知症などで物事の判断能力が低下すると、適切な財産管理ができなくなり、詐欺被害に巻き込まれる可能性があります。また、孤独死の危険性や遺品整理問題などのリスクも考えられるでしょう。
身寄りがない高齢者が利用できる制度
身寄りのない高齢者が利用できる制度には以下のようなものがあげられます。 ●財産管理委任契約 ●任意後見制度 ●日常生活自立支援事業 それぞれの内容について確認していきましょう。 ■財産管理委任契約 財産管理委任契約とは、本人に判断能力はあるが、身体的な理由で自分の財産管理が難しくなってしまった場合に、第三者に財産管理を委任する契約です。貯蓄の管理や公共料金の支払い、年金の受け取りなどの財産管理から、介護施設への入所や入院の手続きなどの財産管理以外の部分のサポートも含まれることがあります。 ただし、財産管理委任契約を結んだ第三者でも、金融機関によっては対応してもらえない可能性もあるため、事前に利用する金融機関に確認をしておきましょう。 ■任意後見制度 財産管理委任契約と似たような制度として、任意後見制度というものも存在します。任意後見制度とは、自分の判断能力が低下したときに備えて、本人が健康で判断能力も問題ないうちに、財産管理やそのほかの身上管理を委任する契約です。 財産管理委任契約との大きな違いは、代理権が発生するタイミングです。財産管理委任契約の場合は、本人の判断能力の有無は関係ありませんが、任意後見制度の場合は、本人の判断能力が低下した時点で初めて効力が発生します。 事前に任意後見契約を結んでおかないと、家庭裁判所が選定した見ず知らずの方が後見人となる可能性があるため、自分の判断能力があるうちに信頼できる後見人を選定しておくと安心できるでしょう。 以上の理由から、財産管理委任契約と任意後見制度を同時に結んでおくと、スムーズに手続きが行えます。 ■日常生活自立支援事業 身寄りのない方が日常生活自立支援事業を活用すれば、日常生活を送るうえで必要なさまざまな援助を受けられます。 利用できる対象者は、以下に該当する方です。 ●自分で物事の判断が難しい方(認知症の方や知的障害者、精神障害者など) ●日常生活自立支援事業の契約内容について理解能力があると認められた方 福祉サービスの利用や福祉サービスを受けるうえで起こりうる苦情対処、行政手続きなどのサポートが受けられます。ただし、貯蓄や生活費の管理などの金銭面でのサポートは含まれていないため、財産管理のサポートを望むのであれば、前述した財産管理委任契約または任意後見制度を利用しましょう。