アートにおけるエコロジーの実践を問う。「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ2『つかの間の停泊者』」展が、5月31日まで銀座メゾンエルメスフォーラムで開催中
ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカという4名のアーティストが参加。自然と人間のエネルギーの循環や、対話の可能性を考察する。
エルメス財団が主催する「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ2『つかの間の停泊者』」展が、銀座メゾンエルメスフォーラムにて、5月31日まで開催中だ。本展は、森美術館開館20周年記念展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」との関連企画だ。 個展とグループ展という2つのダイアローグ構成にて展開され、前回の「ダイアローグ1『新たな生』崔在銀展」に続き、コンテンポラリー・アートというプラットフォームの中で生成される、自然と人間のエネルギーの循環や対話の可能性を考察していく。 参加アーティストは、ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカの4名だ。写真家のニコラ・フロック(1970~)は、世界各地の海や河川に自ら潜りながら、水面下の景観と生息環境とその生態系の撮影を続けている。《Invisible(インヴィジブル)》(2016~2021)や緑と青の色調を水から取り出した《Lacouleurdel’eau(水の色)》(2018~2020)など、通常は目にすることのない地球環境や人間活動の領域を科学的に、コンセプチュアルな手法で記録する代表シリーズを紹介する。 様々なアクションを通じて場との関係性を構築するサイト・スペシフィックなプロジェクトの実践を行うケイト・ニュービー(1979~)は、現居住地・テキサスと栃木県益子町でセラミック制作を実施。ささやかな日常の集積や風土を含み、増殖するかのように空間を占拠し、私たちの身体に親密な触覚をもたらしてくれる。 保良雄(1984~)は、地球太古の時間と都市の地政学を持ち込むことで、優劣や格差を潜在的に生み出してもいるエコロジー思想に批判を込めたアプローチを展開する。そして彫刻や写真、ドローイングから執筆まで多岐に渡る活動を行うラファエル・ザルカ(1977~)。幾何学的なパブリックアート作品に、潜在する動きのダイナミズムがスケートボーダーによって可視化されるさまを写真に納めたシリーズ《RidingModernArt(ライディング・モダンアート)》(2007~2016)を展示する。また東京日仏学院でも、ラファエル・ザルカ展「ライディング・モダンアート」が2月17日~4月21日に開催される。ぜひ併せて訪れたい。 会期中は、アーティスト及びゲストを迎えて、3回のトークセッション「エコロジー:場所をつなぐ」「循環と景観」「地層について考える」も開催予定だ。
Art Beat News