女子バレー、リオ五輪でメダルは無理なのか?
女子バレーの全日本は、5月14日から22日まで8か国によって争われた世界最終予選を5勝2敗の勝ち点「14」で終え、アジア1位、全体の3位に入ってリオ五輪の出場権を獲得した。タイ戦はフルセットの末、6点差からの奇跡の逆転勝利。2セットを奪えばリオ五輪出場の決まるイタリア戦では、粘り強くフルセットにもつれこみ出場権を確定。最終戦ではオランダを下し有終の美を飾ったが、真鍋監督は、「今のままでは五輪で勝てない」と、リオ五輪でのメダル獲得に向けて警鐘を鳴らした。 そしてリオ五輪の出場12か国も決定した。予想される組み分けは、ブラジル/ロシア/日本/韓国/アルゼンチン/カメルーンと、米国/中国/セルビア/イタリア/オランダ/プエルトリコ。それぞれ総当りで戦い、上位4か国ずつが負けたら終わりの決勝トーナメントに進む。ロンドン五輪の銅メダルに続く、メダルを獲得できるのか。問題点はどこにあるのか。元アテネ五輪代表の大山加奈さんに意見を聞いた。 ――真鍋監督は、厳しい発言をしましたが、大山さんは、このチームでメダルを獲得できると思いますか? 「現状のままでは厳しいです。最終予選の出来をみればそうです。予想されるリオ五輪の組み合わせは恵まれたので、おそらくグループリーグは突破できるでしょうが、その先の決勝トーナメントの戦いは厳しいと思います。 前回のロンドン五輪で銅メダルを獲得したチームは、五輪経験者が多く円熟したチームでした。今回は、まだ発展途上。私の五輪体験も“何もできないまま終わった”というものでしたが、下手をすればそうなる危険性もあります。 しかし、今回の世界最終予選もそうでしたが、試合をこなしていく中で適応しまとまり、チームとして成長していく可能性もあります。五輪経験のない選手がほとんどですが、五輪まで時間もあります。その期待感もあります」 ――具体的なチームの課題は? 「いくつかありますが、ひとつはミドルの攻撃が少なかった点です。宮下選手が大会の序盤は、ほとんどミドルを使えませんでした。復帰した荒木選手と、合わせる時間が少なかったことも影響したのかもしれません。ミドルブロッカーの選手たちもブロックは素晴らしかったですが、もっと自らトスを呼ぶ、開くなどのアクションが必要でした。4人全員でシンクロして仕掛けるくらいの攻撃が欲しいですね」 ――セッターを任された宮下遥選手(岡山シーガルズ)のトスワークが起因していますね。 「序盤戦では、宮下選手のトスはスパイカーが空中で選択肢のないものが目立ちました。速さを追求するあまり、打つ側からすると、ピンポイントでしか打てないような軌道の厳しいトスになっていました。おそらくプレッシャーの中、余裕がなかったのでしょうが、本来いろんなことのできる古賀選手が苦しんだ原因のひとつには、そういうトスとの相性もあったと思います。 しかし、ドミニカ、イタリア戦あたりからは、ふわっとした優しいトスが上がるように変化してきました。イタリアの第1セットでは、ミドルも使っていました。でも、スパイカーの要求などで、大会の後半に修正してトスがよくなっても、また大会が終わり仕切り直しになると元に戻ってしまうのです。海外の強豪チームは、 ゆっくりとしたトスでスパイカーの技量に任せています。今の日本のスパイカー陣の能力ならば、トスの速さにこだわらなくとも十分に通用すると思います」