タイの同性婚法制化 立役者が語る「共感力ある政治家」の必要性
東京高裁が同性同士の婚姻を認めない法制度は違憲との判断を示したが、タイでは来年1月に同性婚が法制化される。36万人分の署名を集めて立役者となった市民団体「バンコクプライド」の創設者、アン・チュマポーン氏(41)は、法制化が進んだ理由の一つに、当時の首相だったセター氏ら政治家の存在があったとし「共感力と実行力のある政治家が必要だ」と話した。 【写真まとめ】中国人LGBTQに人気 タイの魅力とは タイでは有権者の署名1万筆を集めれば、一般市民が法案を国会に直接提出することができる。アン氏らは2023年12月、同性同士の結婚を法的に認める法案を提出。政府や野党などが提出した同様の案とまとめられ、下院で24年3月、上院では同6月に圧倒的多数の賛成で可決された。 東南アジアで初めて同性婚の法制化が実現した背景について、アン氏は「性的少数者を受け入れる社会の変化があった」としつつ「最終的には政治が動かなければ実現できない」と指摘。セター前首相が自らプライドパレードに参加するなど、タイの政治家はこうした流れを後押しした。 「国のトップをはじめとする政治家に性的少数者への共感力があり、その思いを形にする行動力があったのが大きい。時代を変えるには、そうした政治家が必要だ」 法律が施行されると、同性同士の結婚でも相続や社会保障などで男女間の結婚と同等の権利が認められる。原則18歳以上で、カップルのいずれかがタイ国籍であることが条件となる。 アン氏は「どの国に生まれた同性愛者であっても平等に法的な結婚をするため、アジアでさらに同性婚の法制化が進むことを願う」と話した。【バンコク石山絵歩】