高齢ドライバーの事故は増加傾向の一方“免許返納”は2020年以降減少…その理由は?
鹿児島読売テレビ
県警によりますと、県内では高齢ドライバーの事故の割合は、増加傾向にあるといいます。 高齢者の移動を専門とする、大手シンクタンクの坊 美生子さんによりますと、高齢ドライバーの特徴の一つとして「自分の運転能力を過信してしまう」ことが事故を引き起こす要因だとしています。 一方、こちらは、県内で運転免許を自主的に返納した65歳以上の人数です。2019年をピークに右肩上がりで増加していますが、2020年以降は減少傾向となっています。 これにはどういった理由があるのでしょうか。 (ニッセイ基礎研究所 坊美生子 准主任研究員) 「2019年に東京の池袋で大きな事故があって、高齢ドライバーによる事故に大変意識や関心が集まった」 2019年4月、東京・池袋で当時87歳の男性が運転する車が暴走し、親子2人が死亡し、9人がケガをする事故がありました。 この事故は社会に大きな衝撃を与え、免許返納など様々な議論が巻き起こり、県内の高齢者の免許返納の数はこの2019年に過去最高となりました。 一方で、その後は減少しています。これはコロナ禍が影響しているといいます。 (ニッセイ基礎研究所 坊美生子 准主任研究員) 「1つは外出が減って、そもそも運転する期間が減ったので、免許返納も後回しにしようかなということは考えられる」 加えて、特に地方ではなかなか返納ができない背景があるといいます。 (ニッセイ基礎研究所 坊美生子 准主任研究員) 「バスや電車の減便、最近の人手不足で便数が減るなどが起きている。そういう中でマイカーに代わる移動手段がなかなか地方では少ないということで運転を続ける事故が起きている」 事故を起こさないためには、どうしたらいいのでしょうか。 (ニッセイ基礎研究所 坊美生子 准主任研究員) 「これまで運転が上手だったしまた必要があるから運転を続けてしまう。必ずしもその状態を自分で正確に意識することが難しいのでしたら、ご家族の方、周りの方が危ないよ、最近こういうふうに注意が落ちてきたよ、ということを指摘するということも大切。マイカーを運転できなくなる代わりに、どんな移動サービスがあるかを提示していく、またそれを地域で確保していくということは必ずいることかなと思います」 県警によりますと、県内の交通死亡事故の件数は去年1年間で39件。 そのうち高齢のドライバーが事故に対する過失が重い第一当事者となった件数は19件で、全体の半数を占めているということです。 警察は運転免許証の自主返納を迷う人や、返納を説得できないと悩む家族のための専用ダイヤル「#8080」を設置しています。 悲惨な事故を起こさないため、ご家族などで話し合う機会を作ってみてはいかがでしょうか。