「就職率100%」のエンジニア養成機関から甲子園へ! 近大高専(三重)が貫く“文武両道”
守りから攻撃へ
今年のチームは吉留という存在がいるものの公式戦の経験がある選手は少なく「本当にまっさらの状態で始めました」と重阪監督は言う。決して力のある代と指揮官は見ていなかったが、一戦ごとに力を付けて、秋の県大会では4強入り。準決勝、3位決定戦で敗れて東海大会出場こそ逃すも、好結果を残すことができた。 春は初戦で昨夏の甲子園に出場したいなべ総合に4対5で惜敗。吉留が155キロをマークして脚光を浴びたが、チームとして勝つことはできなかった。 「新チームが始まってからは勝てるかなという不安はありましたけど、秋から春にかけては納得まではしていないですけど、自分たちが求めてる以上は出せたかなと思います」とここまでの戦いを振り返る倉好。結果以上に「夏も戦える」という手応えを掴んだ秋、春の公式戦だった。 今年のチームが力を入れて取り組んでいるのが守備。 「守備のチームを目指して1年間練習してきました。選手もその意識をしっかりと持って“守りから攻撃”というリズムの作り方が少しずつわかってきたかなと思います」(重阪監督) 一方で打線の中心として活躍が期待されているのが4番を打つ左打者の山中 稜太(3年)と1番か3番を打つ右打者の河口 慶次郎(2年)だ。「しっかり振れるタイプの子で、二人とも柔らかさが備わっています。三振も少ないですし、状況に応じたバッティングをしてくれるので、頼りにしています」と重阪監督は高く評価している。彼らの前にいかにチャンスを作っていくかが夏を戦う上でのポイントになりそうだ。
群雄割拠・三重を勝ち抜くには?
「熱心な指導者が多い県だと思います。野球に対する姿勢が他県と比べても全然負けていないですし、技術力もしっかりと持っています。それと同時にフィジカルの面も強いなと思います。なので、簡単に勝てる学校がないんです」(重阪監督) 毎年のように夏の甲子園出場校は変わっており、各校の戦力差は大きくない。そういう意味では近大高専にもチャンスはあるだろう。 「高専初の甲子園を目指して頑張ります」と夏に向けて意気込みを語ってくれた倉好。高校野球の歴史を変える夏にすることはできるだろうか。夏の初戦は、13日だ。