賞金女王逃すも年間MVP獲得、なぜ渋野日向子は激動の1年に輝いたのか?「自分の人生。やりたいようにやればいい」
女子プロゴルフの今季国内ツアーの最終戦「LPGAツアー選手権リコー杯」が1日、宮崎CCで行われ、注目の賞金女王争いは「68」で回り通算5アンダーで5位に順位を上げた鈴木愛(25、セールスフォース)が制し、2年ぶり2度目の戴冠。今年のゴルフ界の話題を独占した渋野日向子(21、RSK山陽放送)は、3バーディー、1ボギーの「70」で7アンダーで2位と奮闘したが757万5351円差の賞金ランキング2位に終わった。 圧倒的に不利な状況の中、鈴木を追い詰め、最後に申ジエ(31、韓国)を追い抜きランキングを一つ上げた渋野のプレーは、「AIG全英女子オープン」の優勝がフロックではなく、その後も大きく成長を続けた“勝負強さ”を改めて印象づけた。惜しくも賞金女王は逃したが、各大会の順位や出場ラウンド数をポイントに換算して、総合的な活躍度を評価するメルセデスランキングでは1位となり、年間最優秀選手(MVP)を獲得した。女子プロ界を引っ張る堂々の新エースである。 プロテストに合格した1年前の渋野は、翌年のツアー出場優先順位を決めるQT(予選会)の真っ最中だった。サードQTはB地区に出場し、下から5番目の37位で辛うじてファイナルQTに進んだ。QTランク40位で何とか前半戦の出場資格を手にした2019年。「ぎりぎりで冷や冷やだった」と綱渡りで始まったツアー本格参戦1年目での大ブレークなど誰も予想していなかった。 「私でいいんでしょうか」と恐縮した5月の「ワールドレディスサロンパス杯」。メジャーでツアー初優勝を果たしたときには「小さいころの夢は仮面ライダーになることだった」と茶目っ気たっぷりに話し、日本選手では42年ぶりの海外メジャー制覇となった「AIG全英女子オープン」の優勝は「人生が変わった」と表現した。 「そっとしておいてほしい。静かに生きたかった。どこに行っても顔ばれするようになった」とも苦笑した全英の制覇。それでも国内ツアーで4勝し、最後まで全力で駆け抜けた。 「本当にこの1年はたくさん経験させていただいた。この1年は財産。これからのゴルフ人生に生かしたい」