賞金女王逃すも年間MVP獲得、なぜ渋野日向子は激動の1年に輝いたのか?「自分の人生。やりたいようにやればいい」
3位から出た「リコー杯」の最終日の最終18番(パー4)。最終組でトップのペ・ソンウ(韓国)に4打差をつけられて優勝の可能性も、先に上がった鈴木が5位以内を確定させて賞金女王の可能性もなくなっていた。 「優勝は(スコアを伸ばせなかった)前半でないなぁと思った」という渋野は重圧から解放されたように笑っていた。「きょういちだった」という会心のティーショット。2打目は「ダフって乗りました。私らしいな」という残り172ヤードをピン手前2.5メートルにつけた。2打目に向かうときはフェアウエーを歩きながらフルーツをつまみ食いの“もぐもぐタイム”。そして、強気にドスンとカップの真ん中にバーディーパットを沈めた。 「きょうのどのパットより気持ちが入っていた。入ったときは笑いしか出てこなかった。2打目も私を象徴するようなショットで笑けた。すっきりしました。全英のときは楽しんでやっていて、そんなに笑っているつもりはなかったけど、スマイルシンデレラと名付けてもらったことで、ずっと笑っていないといけないのかなと思ったときもあった。でも、自分の人生。やりたいようにやればいいのかなと…。メンタル的にしんどいときもあったけど、バーディーが取れたりすると自然とニヤけちゃう。そういうところを皆さんにお届けしていました」 時の人となった渋野の魅力が凝縮されたような18番だった。 「太陽に向かって咲くひまわり(向日葵)のように明るく」という思いを込めて両親が名付けた「日向子」の名前の通り、見る者も明るくしてくれる笑顔が輝いていた。 激動の2019年を渋野は「ひと言でいえば謎ですかね。いろんな意味で謎です」と表現した。神がかり的な快進撃。本人も想像できなかった急成長。だが、「謎」を生み出した裏には、人にはマネできない強靭なメンタルがある。 2年前から渋野を教える青木翔コーチも「僕もびっくりですけど、フタをされていた才能が一気にあふれ出てきた感じ。自分のゴルフを見つけた1年だったと思う」と話した。ピンをデッドに狙う攻撃的なゴルフ。ミスも多いが、ハマったときは無類の強さを発揮する。