「突きだけでなく人の心伝えたい」日本の空手家がベトナムへ 「白鳥」の形も披露「迫力感じて」
日本武道館(東京)などが11月6~12日にベトナムに派遣する日本武道代表団に、空手道の団長として草野派糸東流拳法空手道会(総本部・大津市)宗家会長の草野健治さん(55)が参加する。同流派は海外普及に力を入れ、草野さんも海外で豊富な指導経験を持つ。「突きや蹴りといった動きだけでなく、空手道を通して人の心を伝えたい」と意気込む。 派遣団は空手道や柔道、弓道など九つの現代武道と古武道3流派の代表者ら計70人でなる。現地の大学や日本人学校でセミナーや演武を行い、帰国前日の10日に演武大会を催す。空手道は草野さんを含む6人が渡航する。 同流派は草野さんの父に当たる先代を開祖とし、当初から海外普及を進めてきた。現在は欧州や中国など6カ国に海外本部を持つ。門下生も国内の約2千人に対し、海外が約1万8千人を占める。 草野さんはこれらの国々で年1回、巡回指導しているほか、外務省の国際貢献事業でアルメニアやセネガルに派遣された経験もある。ベトナムではホーチミン市の空手道連盟と交流稽古も予定する。 演武では、草野さんは「自身のトレードマーク」という「白鳥」の形を披露する。白鳥が舞い、翼やくちばしで相手を攻めたり、相手の攻撃をさばいたりする姿を表現する。 「自分にできないことを教え子に求めない」がモットーで、今も体幹トレーニングを欠かさないことが、白鳥のダイナミックな動きにつながっているという。「まずは迫力を肌で感じてもらうのが一番。そこから空手道への興味を深め、取り組むようになってくれればうれしい」と思いを込める。 日本武道館は武道代表団の海外派遣を2008年から続けている。今年は新型コロナウイルス禍での中断から5年ぶりの実施。日本とベトナムの国交樹立50周年を記念し、両国の友好関係の深化を目指す。