お酒の場で気軽に“寄付”という社会貢献ができる「KIFUBAR(キフバー)」って?
「NPO団体と寄付者」ではなく、たまたま居合わせた“人対人”の関係性
――これまで開催された「KIFUBAR」で思い出に残っているエピソードはありますか? 谷田:失敗談としては、ある時登壇した2つの動物愛護関連の団体が、あまり仲が良くなくて、思いがけない展開になってしまったことでしょうか……。 僕は勝手に「同じテーマを掲げて活動をしている団体だから、その場が盛り上がるのでは?」と考えたのですが、それぞれ「動物にとってなにが幸せか?」という解釈が違っていて、こちらが想像していた雰囲気にはなりませんでした。 NPO団体は営利目的ではないからこそ、思想をすごく大切にしています。同じテーマだからこそ共鳴することもあれば、逆もあるんだなと学びになりました。 不登校の子どもを持つ保護者だけを集めた「KIFUBAR」も印象に残っています。 参加者の方に聞いた話では、普段、友人や同僚と飲みに行っても家庭の悩みは話せないし、子どもにも申し訳ないという気持ちがあるそうなのですが、その場では皆さんがオープンマインドで、「うちもそうなの!」と共感し合っていたんです。 普段の「KIFUBAR」とはまた違った雰囲気で、こういう場を求めている人がたくさんいるんだろうな、と感じました。 ――参加される方はどんな方が多いのでしょうか? 谷田:面白いことに、NPO関連の方や社会貢献に関心のあるという方は2~3割で、半数は「SNSでたまたま告知を見て来ました」とか、これまでNPOに興味もなければ、一度も寄付をしたことがないという方なんです。年代もまちまちで、20代~50代と幅広いですね。 ――これまで社会運動に全く関心がなかった人たちが「KIFUBAR」に参加することで何か変化はありますか? 谷田: 普段、いかに数字を上げるかを考えながら仕事をしているビジネスマンにとって、非営利の活動というものは新鮮に映るのはないでしょうか。疑問も興味も持ってくれていると思います。登壇者との距離も近く、お酒が入っていることもあって、質疑応答は盛り上がり、お互いにとって価値観を刺激されているのが分かりますよ。 ――初めて知ったからこそあれもこれも気になるし、タブーなども気にせずに質問をぶつけられるのかもしれませんね。登壇されたNPO団体の反応はいかがですか? 谷田:バーのように至近距離で、お互いにお酒を飲みながら自分たちの活動について話すのは初めての経験で、普段よりも話しやすいという声が多いですね。 ただ、手応えが得られるかどうかは、プレゼンター次第です。きっちり作り込んだ報告書を用意して、「“私たち”は~」と、組織全体を主語に話を進めていくパターンだと、お客さんの心を掴むのは難しいかもしれません。 逆に、「私がなぜこの団体にいるのか」と、プレゼンター自身が主語を“私”にして、自身の個人的な話をするプレゼンの方が盛り上がるんです。 「KIFUBAR」はあくまでも飲み会です。お客さんを楽しませるサービス精神も試されます。