「物を抱きしめて持ち上げる…」トヨタが生んだ“ふわふわロボット”に海外メディアが大注目
ロボットのボディといえば、硬くて冷たいイメージが強い。その常識を覆すかのような、トヨタが開発する新型ロボットが話題になっている。 【動画を見る】やわらかボディで運搬をこなすPunyoと、その内部技術。 空気圧で膨らんだモコモコのボディを生かし、物を手で掴むのではなく、胸や腰、腕を使って全身で抱きしめるように持ち上げる。膨張・伸縮する素材を表面に備え、物体に触れると形状が変化。接触したものの形状と力を検出することが可能だ。 開発を進めているのは、米シリコンバレーなどに拠点を構えるトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)だ。ロボットは「Punyo」呼ばれ、柔らかさを表す日本語の「プニョ」から命名された。同機関は、「安全で、能力が高く、一緒に働くのが楽しくなるようなロボットという意味が込められている」と説明している。 Punyoが得意とするのは、家の中の不便や困りごとの解決だ。例えば、ウォーターサーバーの重たい水タンクを運び、キャップを下に向けた正しい位置にセットする。1人では運べないソファを模様替えしたいとき、人間が持つ反対側の端を持って一緒に運ぶ。繊細なぬいぐるみを優しく持って、おもちゃ箱に入れてそっと棚に戻す……など、日常的なタスクで人間をサポートする。 目下、重量物や大小さまざまな物体を扱う試験を重ねており、将来的には家庭などでアシスタントロボとして活躍する可能性が期待されている。
物を「抱える」動作が可能に
ソフトなボディのおかげでPunyoは、より人間に近い自然な動作ができるようになった。これまで、ロボットに物を持たせるとなると、開閉する指先でつまむ動作が多かった。工場などに多く導入されているロボットアームも、つまむ、あるいは空気圧を利用して吸盤のように吸い付けるといった動作が多い。 対象のものを1つだけ運ぶのであればこれで問題ないが、私たち人間の物の運び方はもっと多様だ。複数のものを運ぶ時は、状況によって適した運び方がある。例えば洗濯機から出したばかりの衣類を手で運ぶなら、多くの人は両手いっぱいに抱えるようにして別の部屋へと運ぶだろう。指先だけでなく両腕を生かすことで、よりたくさんの衣類を同時に運ぶことができるからだ。 Punyoは、まさにこうした人間に近い動きを追求している。TRIが公開する動画では、Punyoが両手いっぱいに、スーパーの紙袋をいくつも同時に抱えている。紙袋は海外のスーパーでよく利用されているような柔らかいものだが、Punyoのソフトな腕に抱きかかえられても、中の食品が握りつぶされてしまうようなことはないようだ。