温もり感じてバス待ち、木製ベンチで「家具のまち」アピール
大阪府枚方市内を走る京阪バスの「家具町1丁目」「峠」「家具町2丁目」各停留所付近に巨大な木製ベンチがお目見えした。周囲は「枚方家具団地」が広がる地域。ヒノキを使った職人手作りの作品で、家具のまちをアピールしている。 【写真をもっとみる】京阪バス「峠」停留所に設置された木製ベンチ 峠バス停に設置されたベンチは幅約10メートル。背もたれは中央に向かうほど高くなり、最も高い部分で約2・7メートルある。また、背もたれの両側に座れる構造になっており、座る位置を変えることで日差しを避けられるという。 各停留所のベンチはいずれも、枚方家具団地協同組合に所属する家具作りの職人たちが、高知県四万十(しまんと)市産のヒノキを使って製作した。同組合の藤川龍磨理事長は「家具のまちにふさわしいベンチをコンセプトに、デザインから設計まで地元住民も交えて議論を重ねた」と説明する。 枚方家具団地は昭和37年、家具の一大工業地として誕生。ピーク時には家具の小売店も25店舗を数えたが、現在は15店舗に。組合加盟社も約150社から57社へと規模縮小が進む。 そんな中、令和9年度に新名神高速道路が開通するのに伴い、周辺の道路整備が行われ、枚方家具団地内のバス停2カ所が移設されることに。そこで、枚方市や京阪バスが府の「都市緑化を活用した猛暑対策事業」の補助金を活用し、ベンチを製作することにした。 各ベンチの周辺には木製家具の素材となるナラの木を植えており、住民の休憩やコミュニケーションスペースとしても利用できる。 「ベンチになっても木は生きていて、湿度などで状態が変わる。すべてのものに命があると伝わるのでは」と藤川さんは話し、「ベンチを通して個性的な家具のまちをアピールしたい」と意気込んだ。