一斉に寿命到来、都内桜の名所ー「ふるさと納税」活かす目黒区保全対策とは
3月21日、東京では桜の開花宣言がなされました。その後、気温が下がったこともあって、なかなか桜は見頃を迎えませんでしたが、4月2日にようやく満開宣言が出されています。 東京で桜の名所と言われる場所は、上野公園・隅田公園・千鳥ヶ淵・靖国神社、飛鳥山などがあります。毎年、こうした名所には、多くの人が詰めかけています。街をピンク色に染める桜は多くの日本人に長らく愛されている風景になっています。昨今は桜を見るために来日する外国人観光客も増えており、桜風景は洋の東西を問わず、多くの人たちの心を打つようです。 美しい桜の中でも、特に絶大な人気を誇るのがソメイヨシノです。気象庁が発表している開花宣言でも、原則的に基準対象としているのはソメイヨシノとされています。そうしたことからも、現代において桜といえば、ソメイヨシノという概念が一般的になっています。 日本の桜を代表するまでになったソメイヨシノは、江戸末期に誕生したとされています。その美しさから人気を呼び、ソメイヨシノは急速に全国に分布するようになりました。一般的に桜の寿命は長いと言われていますが、ソメイヨシノの寿命は60年との説が根強くあり、桜の中では短命とされています。 都内で花を咲かせている桜の多くは、戦後復興が一段落した昭和30年代に植えられました。そのため、巷間流布している60年説が正しいとすると、都内のソメイヨシノは一斉に植え替えの時期を迎えることになります。
一斉に老木になる都内の桜
そうした事態を受けて、目黒区は桜の保全対策に乗り出しました。目黒区には、東京大学の近くにある駒場公園と駒場野公園、明治の元勲・西郷従道の邸宅地として知られる西郷山公園と菅刈公園など桜の名所がいくつかあります。なかでも、関東一円から多くの人が訪れる目黒川は、屈指の桜の名所として知られています。 「目黒区内に植えられている桜は2300本ありますが、そのほとんどがソメイヨシノです。このうち1000本以上は、間もなく樹齢60年を迎えます」と話すのは、目黒区都市整備部みどりと公園課の担当者です。 「公園や学校の桜はきちんと手入れをされていますが、自動車の往来が激しい幹線沿いや緑道などに植えられているソメイヨシノは傷みが早く、樹勢の衰えを感じさせるものが少なくありません」(同)。