なぜ阪神の株主総会は荒れなかったのか?
阪急阪神ホールディングス(HD)株式会社の第181回定時株主総会が13日、大阪北区の梅田芸術劇場で行われ、毎度、お馴染み、“モノ言う株主”からタイガースへの提言、注文はあったが、フロント、監督、コーチ人事などに関する過激な質問はない“シャンシャン総会”で終わった。荒れなかった総会に、好調なチーム成績を評価している株主=阪神ファンの心理が透けて見えた。 総会は荒れなかった。それは異変と言っていいのかもしれない。 なぜか? 要因はいくつか考えられる。ひとつは阪急阪神HD株主総会の進行方法の変化。事業報告などが終わった後に株主からの質疑に応じる時間になったが、議長の角和夫代表取締役会長/グループCEOは、「最初に都市交通、不動産、経営全般に関する質問からお願いします」と、釘を刺し最初は阪神タイガースに関する質問を受け付けなかったのだ。例年の株主総会では、そういう制限がなく一番最初の質問から阪神タイガースに関するものが飛び出すこともあった。 だが、昨年の株主総会であきれた株主から「株主総会で阪神タイガースの話はもうやめてください。阪神ファンだけでやってください」と要望が出た。おそらく、その意見を汲み取って今回は“タイガース株主総会”にならないように配慮したのだろう。タイガース関連の質問が解禁されたのは、株主総会がスタートして2時間になろうとしたタイミング。初っ端から「遠井吾郎のファンだった」という男性が手を挙げて会場の笑いを誘った。 「最下位に沈んだ昨年のチームスローガンは執念だったが“なんでやねん”」「阪神戦はすべてサンテレビで中継して」「甲子園でイカ焼き販売を」「甲子園の焼き鳥のタレが濃いのはビールを飲ませるためか」「ラインバックの精神を継承せよ」。ふざけているのか、本気なのか、わからないような意見と要望。さらに受けたのは、回答した阪神電鉄の百北幸司常務取締役/スポーツ・エンタテインメント事業本部長が、それを復唱して「貴重なご意見だと考えました。球団に持ち帰って話し合いたいと思います」と答えたこと。会場は笑いに包まれた。 続いて質問に立ったのが50年のタイガースファンで始発電車で東京から駆け付けたという中年の男性株主。「1点だけに絞って言うのでようく聞いて下さい」と話したのはドラフト戦略に対する批判だった。