「女性として見る気が起きない」→「じゃあ、やってみろ」入社6年目で抜擢、THE Wプロデューサーが語る“舞台裏”
女のほうが「面白い」と思うワケ
――その意見はとても面白いです。今のお笑いは男性社会がベースになっている部分がまだまだ大きいですし、この連載でもそう言い切る方はこれまでいなかったと思います。 そうなんですか。女性芸人のほうが、ネタでいえば「この人がこんなネタ作るの!?」って複雑性があるし、人間性に関しても「この人はこういう人」というイメージに対して「こんな一面もあったんだ」って発見があるんですよ。女性芸人のほうが奥深くて、それが面白い。 私はディレクターとしてエルフさんを2回担当してるんですけど、荒川さんは見た目は超ギャルなのにとても真面目。すごく考えていらっしゃって、頭の中がすごく複雑なんです。今年のファイナリストになったキンタロー。さんも、あんなに面白いのに実は内面がめちゃくちゃナイーブでネガティブなところがあったり。そういう複雑さや意外さ、奥深さのある人がゴロゴロいます。 だから『THE W』は密着番組をやったほうがいいと思っているんです。 ――『M‐1』の「アナザーストーリー」みたいな。 そうそう。『M‐1』はとにかく「勝ち」に向かって行くストーリーだから結構わかりやすくて、その分、見やすいんですよ。でも『THE W』は多分もうちょっと複雑なんです。「こういうキャラで売っている芸人が、実はこういう素顔があって……」みたいな複雑性を描ける。そういう挑戦を今後してきたいですね。 ――『THE W』の賞レースとしての存在感は年々増していると思います。失礼ながら初期は「自前の賞レースから新しいスターを発掘したい」という局側の狙いを感じる部分が大きかったですが、今は本当に女性芸人が「優勝したい」と思う大会になってきている気がします。 自分は立ち上げからは参加してないのですが、そういうところは少なからずあったでしょうね。でも結果として、ポテンシャルが高いにも関わらず、勝負できる表現の幅が狭かった女性芸人が、注目される場になりつつある。 出場者の数が増えて準決勝もどんどん面白くなってきていると私は感じるし、去年優勝した紅しょうがさんのネタにしても、私が『THE W』に入った年より去年のほうが格段に面白かった。紅しょうがさんは負けても負けても出続けてくれました。それは『THE W』を獲りたかったから。もともと面白かったけど、東京に来て『THE W』を獲って、今大ブレイクしていらっしゃいますよね。 歴代の優勝者を見ても、ちゃんとこれから売れる芸人が優勝できる大会になっていると言われていて、嬉しいです。