「2段階の"降格"は非常に稀」…「ミシュラン」鳥羽シェフ星ならず!"内定"発言は? 返り咲きは…
重要視される「公平性」と「公正性」…“星内定”はあったのか?
なぜ、このような事態が起きてしまったのだろうか。 ミシュランガイドの評価基準は世界共通であり、料理のカテゴリーに関係なく次の要素を厳正に審査している。 素材の質 料理技術の高さ 味付けの完成度 独創性 常に安定した料理全体の一貫性 毎年ミシュランガイドは発表会でこの5点を強調。「独創性」には提供方法などプレゼンテーションも含まれるが、基本的には“皿の上”にある料理だけの評価となっている。掲載可否や星の評価については、複数の調査員、編集長、ガイドブックの総責任者による合議制。 空間やサービス、酒類の品揃えは関係がないが、酒類の品揃えが優れているレストランには「興味深いワイン」「興味深い日本酒」といったピクトグラムが付く。また、評価の有効期限は、次年度版の発行まで、もしくは、書籍の発行から1年までだ。 現代では、様々なレストランの評価が存在している。日本であれば、ランキングでは「世界のベストレストラン50」や「アジアのベストレストラン50」、「ラ・リスト」、評価では「食べログ」や「Googleマップ」、「ゴ・エ・ミヨ」などが挙げられるだろう。 多くのレストラン評価が存在している中で、ミシュランガイドが最も重要視しているのは、「公平性」と「公正性」だ。調査員はミシュランの正社員であり身元がしっかりしている。 一般客と同じように予約してお金を支払っているので、完全に匿名。調査員であることがバレることはなく、かつて調査員であったという話もほとんど聞かない。1人の調査員だけでレストランを評価することはなく、複数人によって採決されるので、透明性と客観性が担保される。 ミシュランガイドが最も重きを置く価値「公平性と公正性」を毀損してまで、いちレストランに星の内定を告げることには何のメリットもない。ましてや、調査すらしていない新しいレストランに星を確約することは、調査機関としての致命的な欠陥をはらんでいる。 先の“星内定発言”は、長野の新店についてだが、鳥羽氏の本丸は「sio」に他ならない。もしも、この「sio」が星を維持し続けていたとしたら、第三者はどう思うであろうか。調査さえされていない新店でさえ星が確約されているのだとしたら、毎年星を獲得している「sio」も星が内定していると訝られるのは当然だ。