桐生祥秀が挑む2年目の9秒台との戦い
だが、その戦いはひとりだけでできるものでも無い。その点で桐生が恵まれているのは、山縣や200mで世界に追いつこうとしている飯塚翔太など、近い世代のライバルがいることだ。今回のゴールデン・グランプリでも山縣は出場していなかったが、桐生の前の100mの高校記録保持者だった大瀬戸が0秒01差で桐生に競り懸ける走りをしたことも意味がある。桐生とともに世界リレー選手権の代表にもなった彼がもう一皮剥ければ、層はさらに厚くなるからだ。 桐生を大きな刺激剤とするその世代の選手たちが、どれだけ世界に追いつこうという意識を持ち続けられるか。日本男子短距離の躍進のカギは、そこにかかっている。 (文責・折山淑美/スポーツライター)