マクラーレン&メルセデスの“動く”ウィングにレッドブル&フェラーリが異議!不安定なレッドブルでフェルスタッペンは“鬼から会計士”へ変化
圧倒的な強さを失っているレッドブルは、マクラーレンとメルセデスのフロントウィングデザインに追随する可能性が高まっている。 ●【2024年F1チャンピオンシップ・ランキング】第16戦F1イタリアGP終了後 2024年の開幕戦では好調なスタートを切ったものの、アップデートの過程で、車両のハンドリングやタイヤの摩耗(デグラデーション)が悪化し、ペースが大幅に低下した。 メルセデスのトト・ヴォルフ代表は「マックス(フェルスタッペン)はその才能のおかげで一時的に好成績を維持していたが、今は崩れてしまったようだ」と述べている。ただし、ヴォルフは「正確な状況を把握していない」としている。 ■マルコ博士、マクラーレンとメルセデスのフロントウィング分析求める レッドブルのチームコンサルタント、ヘルムート・マルコ博士は、エンジニアたちがシーズン中の開発を振り返り、どこで「道を誤った」のかを探っていると認めている。 さらに、マルコ博士は「マクラーレンとメルセデスのフロントウィングを分析する必要がある」とも語った。2021年にFIA(国際自動車連盟)がレッドブルのウィングの過剰な“たわみ”を規制した後、マクラーレンとメルセデスは新たな方法でFIAのチェックをくぐり抜け、高速走行時の“たわみ”を実現する新たな方法を見つけたことを懸念している。 ■ホーナー代表、“たわむ”フロントウィングの投入を示唆 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、ライバルチームが明らかな不正をしているわけではないとし、こう述べている。 「レギュレーションは非常に明確だ。FIAが文言をもう一度見直すべき問題だ」 「2021年のバクーあたりを思い返してみると、フロントウイングに関するレギュレーションに変更があった。我々のウイングはテストに合格していたが、それらは空気弾力性(風圧による変形)を利用していた。だから、これはまたFIAの問題だ。我々は、彼らが解決してくれると少しは信頼しなければならないが、我々も意見を言うつもりだ」 もしFIAが動かなかったらどうするのか?という質問には「まあ、それが受け入れられるなら、加わるしかないだろう」と答え、“たわむ”フロントウィングの投入を示唆した。 ■フェルスタッペンは“鬼から会計士”へ変化 一方で、マックス・フェルスタッペンは、レースごとにマクラーレンのランド・ノリスに対してどれだけポイントを失うかを管理しなければならない厳しい状況にある。モンツァでは、ノリスとのリードが70ポイントから62ポイントに縮まった。 イタリアの新聞『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、「マックスはレッドブルを支えている。彼は“カニバル(食人鬼=全勝する貪欲な競技者)”から会計士へと変わったが、タイトルを獲得するにはそれが必要なのだ」と評価した。 ■レッドブルのクルマは予測不可能で不安定 81歳のマルコ博士もこの評価に同意し、「マックスはもはやその才能を完全には活かしきれていない」とし、「クルマが予測不可能で不安定なため、限界まで攻めることができない」と深刻な状況を語っている。 「我々が認識しているのは、間違った方向に進んだ時まで戻らなければならないということだ。それがどれだけ速く実現するか見てみよう」 ■フェラーリもフロントウィングに疑問 フェラーリのフレデリック・バスール代表は、マクラーレンとメルセデスのウィングデザインについて疑問があると認め、「この件について報道陣との議論は避けたいが、FIAのニコラス・トンバジスとは話し合うつもりだ。我々は連盟の決定を尊重しなければならないが、非公開で議論するつもりだ」と述べている。