性体験なし=恥ずかしい?48歳まで未経験の女性語る苦悩…SNS“ロストバージン”アカウントに批判の声も
■48歳まで未経験「このまま死んでいく?」「自分に問題があるのでは」
ライターのmirae(みれ)さんは、48歳まで未経験だったことで、様々なコンプレックスを抱えていたという。10代のころは、両親が真面目で性に関する話題はタブーとなっていて、義務教育でも性について学ぶことがなかった。ある時、父親のAVをたまたま見てしまい、リアルな性行為は気持ち悪いと感じる。その一方で、映画や漫画などの性行為には興奮していたという。性的な興味は強かったが、オタク趣味や仕事に没頭し、性欲はセルフプレジャー(自慰行為)で解消できていたそうだ。
しかし、35歳あたりから「このまま誰とも付き合わず、セックスもせず死んでいくのか」と思い婚活を始めたが、実らなかった。「40歳を過ぎて『男性と付き合えないのは、自分に問題があるのでは』と思うようになった。結婚して子どもがいる知人もいるのに、そういうことができない自分が恥ずかしく、周囲に知られず経験したいと思うようになった」。趣味や仕事に没頭しているときは忘れられるが、「ふとした瞬間に寂しいと思った」と語る。 miraeさんの転機は、メンタル面で受診していた女性カウンセラーから、「プロのセラピストなら安心できるのでは」と、女性用風俗を勧められたこと。「男性セラピストに優しくされて安心し、(本番行為は無いが)肌のふれあいも体験できた。女性として扱ってもらえて自信を持てたので、出会い系アプリを始めて、知り合った人とコミュニケーションを取り、初体験をした」。 初体験によって、「やっと肩の荷を下ろせた」と思えたという。「自信が付いて、出会いにも積極的になった。自分としてはよかったと思っている」と語る。
■女性用風俗店セラピスト「性欲ではないところで女性は悩んでいる」
性体験がない女性のための風俗「ムツゴト」の男性セラピスト・カオル氏は、「10年以上前、mixiでカウンセリングのコミュニティーを運営していた時に、よく処女の方から性的な悩みを受けていた」ことが、女性用風俗を始めたきっかけとなった。「鹿児島から東京に会いに来た人もいて、悩みの深さがわかり、『手助けしたい』と合法的な店作りを決めた」と説明する。 ムツゴトは2015年から運営(無店舗型性風俗特殊営業)し、男性セラピストがスローな指入れで「痛くない初体験」を提供している。カウンセリングをして、安心感を感じてもらってからセッションへ移り、料金は3時間3万6000円、5時間6万0000円。本番行為、痛いこと、汚いことは禁止している。 大学生から60代まで様々な年代が利用し、一番多いのが「29歳」「39歳」「49歳」だそうだ。「節目の年齢に強迫観念から訪れる。男性は風俗を『性欲処理の場』と思うが、女性は性欲が理由ではなく、『このままでいいのか』と悩んで来る人が多い」と明かす。 客層は「すごくキレイで彼氏がいそうな人もいる。容姿は全く関係ない」という。「女性はセックスしようと思えば、街でのナンパなど男性よりは簡単だろう。しかし、そこには怖さなどの感情が絡まる。単純なする・しないや、美醜の問題ではない」とした。 性体験のない未婚女性の割合は、18~34歳で49.4%。その内訳は、18~19歳が78%、20~24歳が52.6%、25~29歳が35%、30~34歳が39.7%となっている(2021年、国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査より)。