はやぶさ2が地球に帰還へ JAXA会見(全文2)やはり、自然は本当に面白い
手ごわい相手だからこそ成長できたのか
産経新聞:そうしますと津田先生、やはりリュウグウは手ごわい相手だからこそ探査技術、運用技術の成長というか改良というか、成長がよりできたというようなご認識がやはりお持ちでしょうか。 津田:そうですね。うまくいったからこう言っちゃっているのかもしれないですけども、われわれが想定しているより非常に難問でした。着陸させるにしても、こんなにリュウグウが難しい環境の場所だということは想定の外でした。一方でぎりぎりやれたと思っていますけども、やれたということはちょうどいいレベルの難問だったのかもしれませんね。われわれの技術的なレベルを引き上げるだけ引き上げてもらった、そういう意味で感謝の念があります。 産経新聞:最後に、取材実務上の質問ですけど、あしたはどのような報道対応をご予定されているでしょうか。会見とかではなく、どのような形で運用の状況のご説明いただけるでしょうかというところを。いかがでしょう。 司会:こちらは広報から答えさせていただきます。あしたはプレスリリースを、出発が確認できましたらプレスリリースの発出をいたします。お問い合わせがあるようでしたら広報にお問い合わせをください。そのときの管制室の様子の写真と映像は、プレスリリースより少し遅れてしまうかもしれませんが、できるだけ早くご提供できるように準備をいたします。 産経新聞:じゃあ、いよいよ出発なさったあとのチームのご感想とか、そういうものはなんらかの形でいただくことはいかがでしょうか。 司会:はい、承知いたしました。
リュウグウを離れることについて、今の思いは?
日本テレビ:すいません、日本テレビの【井田 00:32:48】です。3点ほど伺いたいのですが、先ほど津田さんが寂しいとおっしゃっていた件、あらためてお願いしたいなと。今の思いですね、リュウグウを離れることについての。 津田:リュウグウに、観測してきた、付き合ってきた、戦ってきた、いろんな思いがあるんですけれども、とにかくこの1年半、ずっとリュウグウのことを見てきたんです。最初は美しいと思って、途中で憎たらしいと思って、途中でなんとかできたと思って、そしたら最後は感謝の念が出てきたと。いろんな感情をリュウグウに対して持ちました。 そういう、文字通りわれわれの生活の中心にリュウグウがこの1年半、いたような感じになっていますので、その意味で、そのリュウグウを離れて今まで、この1年半は普通に見えていたものが見えなくなります。ここから先、われわれが見えなくなるだけではなくて、もう本当、人類全体としてリュウグウのことを見ることはしばらくはないでしょう。それをちょっと思うと、離れていいのかなと思ったり、寂しいなと思ったりするという感じです。 日本テレビ:ありがとうございます。あと、あした10時5分、離脱を行うというのは、これはコマンドを打つのが10時5分なんでしょうか。それとも離脱、実際に機上が受け取るのが10時5分。 津田:これは、10時5分に探査機が機上で噴射を行うということです。今現在「はやぶさ2」と地球の距離で14分ぐらい情報が遅れてやってきますので、それを地上で確認するのが10時19分とかそれ以降ということになります。その10時5分に離脱するためのコマンドというのは、その場で打つんではなくて、その日に直前に登録すると。何時何分に実行しなさいという命令を事前に登録することになります。