戦力分析/下 市和歌山 少ない好機、着実に バッテリー軸に守りも磨く /和歌山
<センバツ2019> 第91回選抜高校野球大会で、3年ぶり6回目の出場となる市和歌山は、バッテリーを中心に守りを固め、少ない好機を着実に生かす堅実なプレースタイルに磨きをかけてきた。初戦は23日の開会式直後の開幕試合(午前10時半開始予定)に決まった。ゲームの入り方に難しさはあるものの、チームでは「楽しんでプレーしたい」(米田航輝主将)と、緊張を力に変えて臨もうという気持ちが高まっている。 「バッテリーを軸とした守りが重要。無駄に進塁をさせたり、得点を与えたりしてはいけない」 今回で春夏通算4回目の甲子園となる半田真一監督(38)は、ミーティングで選手たちに繰り返し言い聞かせてきた。徹底的に守りを固めて少ない好機を着実にものにしていくスタイルは冬を越え、さらにレベルアップした。 昨秋の公式戦6試合で完投し、チームをけん引した左腕エースの岩本真之介投手(1年)は課題だったスタミナ不足を改善するため、冬場は走り込みに加え、週1回の水泳にも励んだ。持久力がアップし、下半身も強化されたことで、持ち味とする制球がさらに安定した。 140キロ超の直球を持つ右腕の柏山崇投手(2年)もスピードや球のキレが良くなり、ウエートトレーニングなど体作りに重点を置いた成果が表れている。バッテリー担当の舩津直也コーチ(26)は「岩本は思った以上の仕上がりを見せている。柏山は球質が良くなり、ハングリー精神も培われた」と手応えを話す。 打撃では、砂の入った重さ5キロのメディシンボールを抱えてスイング動作を繰り返し、体幹を鍛えた。力強さが増し、昨秋に比べて長打が出るようになってきている。 また、好機を確実にものにするため犠打練習にも時間を割く。走塁ラインのやや内側に小さいカラーコーンを置いて目印にし、打球のコースを意識した丁寧な練習に取り組んできた。半田監督は「発足当初は攻撃力が乏しかったこのチームでは攻撃練習の原点」と話す。 打線の中軸は好調で、昨秋、打率がチームトップだった山野雄也選手(2年)は安定した打撃で、緒方隆之介選手(2年)は長打が期待できるようになった。昨秋はけがのため試合出場を見送った津田智久、山田佳吾の両2年生選手も復帰し、打線に厚みが加わった。 開幕試合で対戦する呉は、技巧派の右腕エースが試合を作り、機動力と小技を絡めた攻撃を得意とする。半田監督は「うちとよく似たチーム。こちらも個々の能力ではなくチーム全体で戦う。少ない好機をつかむ野球で挑みたい」と意気込んでいる。【後藤奈緒】