ネットを使った不登校児支援、自治体と連携相次ぐ 登校せずとも出席扱いに
「不登校の子どもの指導、ネットを活用して教員不足でもきめ細かく」
パルステップを開発したエデュアスの佐藤里美・取締役は、「発達障害などの特性を持つ子ども向けに、タブレットなどを活用した個別指導を行ったり、全国の先生の協力を得て特別支援学校などで実証研究を行ったりしていたが、勉強に対する意欲が高まるなど、非常に効果的なことがわかってきた。特別支援教育で得た知見を、不登校の子どもたちにも応用すれば、学校へ行けなくても自分で学んでいくことができると考えた」と説明する。 また、「全国の先生と交流する中で、学校の人員不足や、若手の教員が増えていることで、不登校の子どもへのきめ細やかな指導が難しくなっているという話を聞いていた。ICTを活用すれば、学校や教員が子どもの様子を簡単に知ることができ、指導の負荷も減らせる」と思ったという。 昨年の11月から今年の3月まで、仙台市のほか、葛飾区や奈良県橿原市など8か所の自治体でテストし、5月以降は約100校の学校で試験的に導入されているという。佐藤取締役は「小中学校で不登校になっている子どもは約13万人。このうち10%ぐらいの子どもに使ってもらえたら」と青写真を描く。
ネット部活やプログラミング学習…学習支援以外にもIT企業の力で個性的なプログラムを提供
7月中旬から、島根県益田市で、不登校の子ども向けのウェブサービス「クラスジャパンプロジェクト」を始めるのが、一般財団法人「クラスジャパン教育機構」(東京)だ。 益田市のほか、大阪市の一部や、大阪府茨木市でも順次サービスを始めていくといい、そのほか約30の自治体と導入に向けた協議を進めているという。 プロジェクトは、ネットを利用した通信制高校「N高等学校」の設立・運営にも関わっているメンバーなどが企画。DeNAやリクルートなどの複数の企業が参加しており、自社サービスを提供。プロジェクト名義のアカウントを子どもが利用することで、それぞれの企業が提供する映像授業を受けられたり、プログラミング学習ができたり、ネットを使って不登校の子ども同士がゲームなどを楽しむ「ネット部活」などに参加できたりするという。 リクルートなどが提供する学習支援も学習指導要領に対応しており、進めていけば出席日数にカウントされる。子どもの籍がある学校と、クラスジャパンの担当者(ネット上の担任)が情報共有しあうことで、学校へ登校できるようになった際にはスムーズに復帰できるよう調整もしていく。また学校が認める地域の学習拠点も作る予定で、そこでVR体験や、講師を招いた職業体験などができるようにしていくという。